米運輸省、全国の道路改修に8億ドル拠出、交通事故死者数の減少を目指す

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月03日

米国運輸省(DOT)は2月1日、道路改修など510の交通プロジェクトに8億ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2021年の交通事故死者数は前年比10.5%増の4万2,915人と、2005年以降で最多となったことを受け(2023年1月16日記事参照)、交通事故死者数の減少に向けて、交通インフラ整備を加速させる。

DOTによると、2022年の交通事故死者数も2021年と同水準になると見込まれており、死亡事故も含めた交通事故による経済的な損失額は2019年だけでも3,400億ドルに上る。こうした現状について、ピート・ブティジェッジ運輸長官は「国として、この問題を真剣に扱う必要があり、これはただの日常的なことではないという意思決定を下す必要がある」「われわれは道路における国家緊急事態に直面しており、緊急の行動が必要だ」と述べた(ロイター2023年2月1日)。

2021年11月に成立したインフラ投資雇用法においては(2021年11月9日記事参照)、道路の安全対策などに関するプログラムに50億ドルの資金が割り当てられており、今回の8億ドルもこのプログラムの資金枠から拠出される。採択されたプロジェクトは、道路での死者数を減らすための道路安全計画の策定のためのアクションプラン(473件)と、歩行者や自転車をはじめとする、道路を利用する全ての人々の安全を高めるためのプロジェクト(37件、注)。主要な案件として、ミシガン州デトロイト市の事故の多い地域や歩行者向けインフラが不十分な地域の再設計などのプロジェクトに2,480万ドル、フロリダ州ヒルズボロ郡の歩道や自転車レーンの整備などのプロジェクトに1,970万ドル拠出されることが明らかになっている。DOTによると、4月には11億ドル規模となる2回目の資金拠出機会を予定している。

またDOTは、交通死亡事故に関するデータを基に、全国各地の交通死亡事故の発生頻度などを示すデータ視覚化ツール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをリリースしたことも併せて発表した。同ツールによって、過去5年間における交通死亡事故の発生箇所やその頻度が高いエリア、郡別の死亡事故発生数を全国平均比較したデータなどを確認できるようになっている。

(注)道路安全計画策定のためのアクションプランの詳細については、DOTホームページ内のリストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を、道路の利用者の安全を高めるためのプロジェクトの詳細については、同プロジェクトに関するDOTのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを、それぞれ参照。

(宮野慶太)

(米国)

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