イタリアがガスの脱ロシア依存へ、アルジェリアと関係強化

(イタリア、アルジェリア、ロシア)

ミラノ発

2023年02月03日

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は1月23日、訪問先のアルジェリアでアブデルマジド・テブン大統領と会談、経済・エネルギー安全保障の包括的な協力関係を深めることで合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

メローニ首相は記者会見で、アルジェリアとの関係強化で「イタリアはエネルギー供給のハブ、欧州のドアとなり得る」と表明。アルジェリアとの関係を軸に、アフリカ諸国への外交政策「マッテイ・プラン」(注)を推し進める構えだ(2022年12月4日「コリエーレ・デラ・セーラ」紙)。

イタリアは、2021年には天然ガス輸入量の約40%をロシアに依存していた。ロシアによるウクライナ侵攻後、喫緊の課題となったエネルギー調達先転換で、マリオ・ドラギ前首相がまず協力を求めたのがアルジェリアだった(2022年9月28日付地域・分析レポート参照)。アルジェリアは要請に応じ、現在はイタリアの国別の天然ガス輸入先として首位となっている(1月24日「イル・ソーレ・24オーレ」紙)。

今回の訪問では、イタリアの石油・ガス大手エニのクラウディオ・ディスカルツィ最高経営責任者(CEO)と、日本の経団連に相当するイタリア産業連盟のカルロ・ボノーミ会長も同行(1月23日ANSA通信)。エネルギーだけでなく、産業協力や航空宇宙などの分野でも協力することで両国は合致した(1月24日ANSA通信)。

2024~2025年冬にはガスの脱ロシア依存も可能に

エニは1月23日、アルジェリアの国営炭化水素公社ソナトラックと、メローニ首相やテブン大統領の立ち会いの下、エネルギー供給、エネルギー転換、脱炭素の分野での協力について戦略的協定を結んだ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。両社は温室効果ガス・メタンガスの排出削減やエネルギー効率化、グリーン水素製造、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留についての取り組みを行う予定。ディスカルツィCEOは報道陣に「アルジェリアからのガス供給量は毎年増えている。2年前は210億立方メートルだったが、現在は250億立方メートル、2024年は280億立方メートルに達する」とし、2024~2025年の冬にロシアからのガス供給をゼロにすることも可能という予測も述べた(1月23日ANSA通信)。

(注)マッテイ・プラン(Piano Mattei)はメローニ首相が構想する対アフリカの外交政策で、協力に重点を置き、相互利益を尊重することを目指したもの。1950年代にアフリカ諸国の天然資源開発を支援したイタリアの石油・ガス大手エニの創業者エンリコ・マッテイ氏の名を冠する。

(平川容子)

(イタリア、アルジェリア、ロシア)

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