2023年は化石燃料分野、グリーン分野、自動車分野に注目

(アルジェリア)

パリ発

2023年02月02日

2022年は世界的なエネルギー価格高騰がアルジェリアの経済成長を後押しした(2022年12月27日記事参照)。世界銀行は1月に発表したレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、2023年のアルジェリアの実質GDP成長率は2.3%になると予測している。エネルギー価格が低下に転じることと、炭化水素の国内消費回復に伴う輸出量の減少によって、2023年のエネルギー部門の成長率は0.5%にとどまるが、非エネルギー部門の成長率は3.1%の見通しとなる。

近年徐々に進んでいる経済の多様化への取り組みは引き続き重要だが、アルジェリアは輸出の約86%を炭化水素に依存し、エネルギー部門が対GDP比約20%を占めているため、同部門はいまだにアルジェリア経済を大きく左右している。こうした中、2023年は化石燃料、グリーンエネルギー、自動車の分野で、大規模プロジェクトの進展が期待される。

化石燃料分野では、脱ロシア依存を狙う欧州諸国のエネルギー需要に対応するため、アブデルマジド・テブン大統領は輸出用天然ガス生産量を2023年中に倍増させる目標を設定した。国営炭化水素公社ソナトラックが2022年から開始した400億ドルの5カ年投資計画に基づき、石油・天然ガスの採掘、生産能力をどこまで強化できるのかが関心を集める。また、政府はエネルギー関連インフラの整備にも力を入れる。ナイジェリアからニジェールとアルジェリアを経由して天然ガスを欧州へ輸送する「トランス・サハラ・ガスパイプライン」の建設計画(2022年5月9日付地域・分析レポート参照)に追加して、1月23日、イタリア政府と新パイプラインの建設に向け合意書を締結した。テブン大統領は新パイプラインを速やかに建設し、天然ガスに加えて、電力、水素、アンモニアをイタリアに輸出する意向を表明した。

グリーンエネルギー分野でも、アルジェリア政府はエジプトなど他の地中海諸国と同様、欧州市場向け水素・アンモニアの供給拠点になることを目指している。ソナトラックが2023年に開始するグリーン水素製造と輸送用パイプラインのパイロット事業が注目される。

自動車分野では、政府は2022年に自動車製造と新車輸入に関する政令を公布した。申請企業に営業認可が発行されれば、新車の輸入と国内製造が2023年中に再開する可能性がある(2022年11月24日記事11月25日記事参照)。製造業一般については、サプライチェーンの再編成、エネルギーの安定的な供給確保を考えている欧州諸国に対して、アルジェリア政府は豊富な資源とグリーンエネルギー分野の可能性をアピールしつつ、国内への製造業投資を引き付けたい考えだ。今後、アルジェリアがどこまで外資系製造業を誘致できるかに関心が集まる。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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