日本製冷延鋼板に対するアンチダンピング調査を開始
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年02月03日
マレーシア国際貿易産業省(MITI)は1月31日、日本から輸出される冷延鋼板に対するアンチダンピング(AD)調査を開始すると発表した(MITIプレスリリース、1月31日掲載の官報
)。MITIによれば、1月1日に地場企業マイクロン・スチールCRCより、同製品が日本の国内価格より安い価額でマレーシアに輸出され、これによる重大な損害が生じたとの申し立てがあった。
合金鋼および非合金鋼の冷延鋼板(幅1,300ミリ未満のもの)が対象で、該当可能性のある23の関税分類が上記官報の8ページ目に記載されている。日本鉄鋼連盟によれば、供給される板幅は一般に、一次加工業者の圧延設備で対応可能な幅に基づくオーダーによって決まる。従って、日本からマレーシアへ供給される冷延鋼板のうち、今回の調査対象製品がどの程度含まれるのかを把握するためには、個別企業の分析を確認する必要があるという。
マレーシア政府は、当事者(マレーシア産業および製造業者団体、日本の対象製品の生産者または輸出者、マレーシアの輸入者および輸入者団体、日本政府)に対し質問状を送付し、これらの回答や証拠を収集することで、ダンピングの存在および損害との因果関係につき調査する。自らの見解や証拠が調査において考慮されることを希望する場合、2月15日までにMITIに質問状を請求し、官報公示日から30日以内に書面で同省に提出する必要がある。調査を受け、MITIは官報公示日から120日以内に仮決定を出す。ダンピングによる損害が認められた場合、調査開始日から60日経過以降に暫定措置を導入することができる。さらに、仮決定の官報公示日から120日以内に最終決定が行われる。
なおMITIは同日、既にAD税が課されている中国、韓国、台湾、タイから輸出される冷延ステンレス鋼板に対しても、課税を継続するか否かを審査するサンセット・レビューを開始すると発表した。対象は、厚さ0.3~6.5ミリ、幅1,600ミリ以下の冷延ステンレス鋼板で、コイルやシートも含む。マレーシアは現在、上記4カ国・地域からの対象製品に対して最大111.16%のAD税を課しており、2月7日に期限を迎える。
WTOの貿易救済措置ポータルによれば、これまでにマレーシアが実施したAD調査は109件。2020年1月以降の措置適用につながった調査35件のうち、6割以上を占める23件が鉄鋼製品に対するAD調査だった。マレーシアは2019年12月以降、日本製の広幅冷延コイルにもAD税を賦課している(2020年1月14日記事参照)。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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