経済省が非関税規制の有無なども一覧できる関税率表を公開

(メキシコ)

メキシコ発

2023年02月03日

メキシコ経済省は2月1日、国家貿易統合システム(SNICE)の公式ツイッターを通じて、関税率だけでなく非関税規制の対象かどうかも一覧できる統一関税率表エクセルファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)SNICEのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公開したことを明らかにした。同関税率表では、一般(MFN)関税率に加え、インフレ抑制のための関税免除制度(2023年1月11日記事参照)の対象かどうか、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC、注)に基づく優遇関税の対象かどうか、輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業プログラム(IMMEX)を用いた一時輸入で特別な要件を満たすことが義務付けられるセンシティブ品目かどうか、輸入時にメキシコ公式規格(NOM)の履行が求められる品目かどうか、経済省、エネルギー省、保健省、国防省などによる非関税規制の対象かどうか、アンチダンピング(AD)税の対象品目かどうかなど、さまざまな情報をHSコードごとに知ることができる。具体的な掲載情報については、添付資料を参照。

経済省は従来、インターネットを通じた関税情報システム(SIAVI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますというウェブサイトを通じてHSコードごとにこれらの情報を提供していたが、同サイトはさまざまな事情により、2022年2月以降、一切更新されなくなった。そのため、HSコードごとに関税率だけでなく、非関税規制や特恵関税率を検索できる無料サイトは実質的になくなっていた。今回、メキシコ経済省がエクセルファイル形式の新たな統一関税率表を作成したことで、最新のHS2022版のHSコードに基づき非関税規制などを一覧できる便利なツールが、貿易事業者に対して提供されることとなり、SIAVIを代替する効果が期待できる。

FTAに基づく特恵関税率の掲載はなし

メキシコは世界51カ国との自由貿易協定(FTA)に加え、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、エクアドル、キューバとはラテンアメリカ統合連合(ALADI)の枠組みで関税削減対象品目を限定した経済補完協定(ACE)を締結している。そのため、多くの国からの輸入品に一般関税率よりも低い関税が適用されている。SIAVIではこれらの特恵税率もHSコードごとに知ることができたが、今回発表された統一関税率表には貿易協定の特恵税率は掲載されていない。したがって、これらを調べるためには、2022年8~12月に連邦官報に掲載された、最新のHSコードに基づく各協定の特恵関税率を公示する経済省令を個々に連邦官報のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどからダウンロードする必要がある。

また、統合関税率表には、SIAVIにはなかったAD税の有無を示す欄が加えられたが、AD税の課税があることのみが記されており、どこの国の産品に対して具体的にどの程度のAD税が課されるのかについては知ることができない。これを調べるためには、経済省の国際貿易措置ユニット(UPCI)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますから、AD税対象品目リスト(最新版は2022年10月3日時点)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をダウンロードするしかない。

(注)メキシコが国内生産を促進する24業種の生産者に対し、国内生産が十分ではない原材料、部品、機械設備の関税を減免する制度。PROSEC政令第4条に記載された製品を国内生産する企業が該当する産業で登録することが可能になり、登録された企業は、第5条に記載された部品、原材料、機械設備について、同条に記載された業種別の優遇関税率で輸入することが可能になる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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