中国、「信頼できないエンティティー・リスト」初運用、米2企業を掲載

(中国、米国)

北京発

2023年02月20日

中国商務部は2月16日、「信頼できないエンティティー・リスト」に米国のロッキード・マーティンとレイセオン・ミサイルズ・アンド・ディフェンスを掲載すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両社に対しては、(1)中国と関係する輸出入活動を禁じる、(2)中国内での新たな投資を禁じる、(3)高級管理職(注)の入境を禁じる、(4)高級管理職の中国での就業許可、滞在・居留資格を取り消し、許可しない、(5)「信頼できないエンティティー・リスト規定」施行以降に台湾と契約した武器売却金額の2倍の罰金を科すという5つの措置を取る。

商務部は17日の発表でリスト掲載の理由について、台湾への度重なるミサイルや戦闘機などの攻撃兵器売却によって、中国の安全と主権・領土の完全性を損なったためとした。米国による中国の気球撃墜事件(2023年2月7日記事2月13日記事参照)との関係は否定した。また、今回の措置はWTOルールにのっとったものとした。

中国社会科学院世界経済・政治研究所の高凌雲研究員は「中国から制裁を受けることで両社には国際的な影響が生じ、米国の資本市場でも影響を受けるだろう」としている(「環球時報」2月17日)。

同リストについては、根拠となる「信頼できないエンティティー・リスト規定」〔商務部令2020年第4号〕外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが2020年9月19日付で公布、即日施行されている。施行以来、リストに掲載されるのは今回の2社が初となる。

規定では、掲載の対象となる行為について、外国の企業・その他の組織・個人が(1)中国の主権、安全、発展の利益を害する、(2)正常な市場原理に背き、中国の企業・その他の組織・個人との正常な取引を中断する、あるいは中国の企業・その他の組織・個人に差別的な措置を取り、中国の企業・その他の組織・個人の合法的な権益を著しく損ねる場合を挙げている。

また、措置内容としては(1)中国と関係する輸出入活動を制限あるいは禁止する、(2)中国内での投資を制限あるいは禁止する、(3)関連する人員、交通運輸手段の入境を制限あるいは禁止する、(4)中国内での就業許可、滞在・居留資格を制限あるいは取り消す、(5)状況の軽重に応じて適切な罰金を科す、(6)その他の必要な措置としている。

(注)中国の会社法での定義は、経理(役員会で任用・解雇を決定し、企業の生産・経営管理などを担う)、財務責任者、上場企業の役員会秘書、定款に定められたその他の人員とされている。

(河野円洋)

(中国、米国)

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