欧州産業界、欧州委のグリーン・ディール産業計画を大筋で歓迎

(EU、米国)

ブリュッセル発

2023年02月07日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は1月31日、欧州委員会が2月1日に米国のインフレ削減法(IRA)(2022年10月6日付地域・分析レポート参照)への対抗策として、グリーン・ディール産業計画(2023年2月3日記事参照)を発表することを歓迎した(欧州産業連盟のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同連盟は、IRAは欧州の産業にとって新たな脅威であり、EUとして包括的な対応を取り、世界的な補助金競争を避けなければならないと指摘。エネルギー価格の高騰や規制対応関連コストの増大、許認可プロセスの長期化による欧州企業の域外流出につながる要因に同時に対応し、IRAによって企業が投資先として米国を選ぶことに対抗する必要があるとした。特に、(1)企業に過剰な規制を課さないこと、(2)全産業部門の変革に向けて欧州の投資環境の改善、(3)許認可プロセスの迅速化、簡略化を要望した。

欧州自動車工業会(ACEA)は2月1日付声明で、詳細が今後発表される「欧州主権基金」なども含め、同計画はEUでの投資継続につながると歓迎し、EUとその加盟国が欧州の産業競争力強化について明確なリーダーシップを発揮することを期待するとした(ACEAのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。グローバルサプライチェーンの強靭(きょうじん)化といった多くの課題に対応するには、欧州の産業基盤を支えつつ、産業界が環境目標を実現するために、産業政策への新たな取り組みが早急に求められるとした。今後、同計画が示した施策を実現していくに当たり、革新的なグリーンまたはデジタル産業への支援となる大規模な投資枠組みの策定や、エネルギー価格対策や適切な価格での低炭素技術へのアクセスなどが必要だとした。また、同計画で労働者のグリーン化・デジタル化に対応したスキル向上の必要性に焦点が当てられたことを歓迎した。

欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)も2月1日、同計画を歓迎(ORGALIMのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。その上で、欧州のネットゼロ産業の発展のための優先事項として、(1)電動化などに必要な技術を同計画に含める、(2)公的な補助金と民間投資の規模について適切なバランスを取り、より一層大規模な民間投資を誘導する、(3)民間投資を促すためにも、クリーン技術への投資の障害となる規制の撤廃などを行う、の3点を挙げた。

(滝澤祥子)

(EU、米国)

ビジネス短信 a41e91d917c0f69a