PLS@XPATS取得のハードル高く、活用進まず
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年02月14日
マレーシア政府が新たな短期滞在ビザ「PLS@XPATS」を2022年10月に導入して間もなく半年が経過するが(2022年10月19日記事参照)、当初の期待に反して現状では活用がうまく進んでいないようだ。PLS@XPATSは、外国人専門家が緊急かつ重要な仕事に従事する場合に、最長30日間の就労を認めるものだ。パスの延長はできないものの、緊急対応を前提として、同一人物が複数回申請することが可能なことは確認されている。
短期の修繕対応などに活用すべく申請する事例も出ているが、却下される案件が多く、よほどの緊急事案でなければ、なかなか承認されないのが実態だ。出入国管理局によると、「緊急かつ重要な仕事」の意味するところは事故への対応などで、事前に計画・予定して行われる機械の設置や点検などは「緊急かつ重要」事案には当たらないと判断される。
従って、緊急かつ需要でない案件の場合は従来どおり、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)が必要だ。新型コロナウイルス後の国境再開に伴い、観光ビザでも入国が可能になったものの、たとえ数日間の滞在でも、就労する場合はPVPの取得が求められる。「PVP取得手続きが煩雑で時間が掛かるからこそ、PLS@XPATSに期待していたのに残念」「(PLS@XPATSは3営業日以内にパスが発給されるとのことだが」逆に緊急対応に3日も要していては、間に合わないのでは」といった指摘も出ている。ビジネスの実態に即した運用改善が望まれるところだ。
なお、PLS@XPATSは全てオンライン申請で動いているため、特定の窓口や連絡先は存在しないが、処理はPVP担当部署が実施している。そのため、仮に却下事由を知りたい場合には、会社のエンドーサー、またはサブミッションオフィサーに指定された社員が出入国管理局に直接出向き、PLS@XPATS申請にかかる関連書類一式を提示すれば、PVP担当官が調査に動く可能性はある。ただし、必ずしも却下理由が明らかにされるとは限らない。
現時点では、PLS@XPATSを申請する場合、緊急・重要性を裏付ける写真や書類を準備の上で申請する必要があると解される。質問は出入国管理局のメールで受け付けている(plsxpatesd@imi.gov.my)。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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