米エネルギー省、炭素回収プログラムに25億2,000万ドルの拠出発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月27日

米国エネルギー省(DOE)は2月23日、炭素回収の実証プログラムに最大25億2,000万ドルを拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金は、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)から拠出される。

発表されたのは2つのプログラムで、1つは、「炭素回収実証プロジェクト支援プログラム」に最大17億ドルを拠出する。二酸化炭素(CO2)輸送や地中貯留インフラと結び付けた商用規模の炭素回収技術を実証する、最大6件のプロジェクトを対象に資金が分配される。特に発電、セメント、製紙、パルプ、鉄鋼などCO2排出が多い主要産業に焦点を当て、石炭火力発電所2カ所、ガス火力発電所2カ所、発電所ではない工業施設2カ所を対象に、プロジェクト費用の50%を上限に資金が手当てされるとしている。

2つ目は、「炭素回収大規模パイロット事業」と銘打ったプログラムで、最大8億2,000万ドルが拠出される。製造業や産業施設での石炭や天然ガス使用のCO2排出削減などを改善する炭素回収技術プログラムを確立することを目的として、最大10件のプログラムに資金が分配される予定で、特に電力部門と産業部門の新技術開発を支援するとしている。

DOEは1月末にも、炭素管理技術に1億3,000万ドル超の拠出を発表しており(2023年2月6日記事参照)、炭素管理・回収技術支援に最近になって矢継ぎ早に取り組んでいる。こうした政府の動きに呼応するように、2月23日には23の民間企業などが参加するかたちで、恒久的な炭素除去技術を支援する政策を推進することを目的とした「炭素除去同盟」が発足するなど、民間でも関連した動きが活発になってきている。

一方で、一部の環境保護団体は、炭素回収技術への依存は化石燃料への依存を長引かせる可能性があると批判的で、有力環境保護団体のシエラクラブの一部の幹部は、多額の資金を炭素回収技術に提供しているインフレ削減法を称賛した国のリーダーらを非難する声明を会員企業などに送ったと報道されている(「ワシントン・ポスト」紙電子版2022年10月9日)。

(宮野慶太)

(米国)

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