米エネルギー省、炭素管理技術に1.3億ドル超拠出、CO2回収コスト1トン100ドル未満の達成を支援

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月06日

米国エネルギー省(DOE)は130日、大気中からの炭素直接回収(DAC)など炭素管理技術に1億3,000万ドル超を拠出すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

支援の対象となるのは33のプロジェクトで、「カーボンセーフ・アワード」対象の11件、「カーボン・マネージメント・アワード」対象の22件からなる。 前者はカリフォルニア州やバージニア州など11の二酸化炭素(CO2)貯留施設プロジェクトに計9,300万ドルを拠出するもので、これらのプロジェクトにより累計で5,000万トン以上のCO2を貯留できる可能性がある(11の施設詳細はDOEホームページ参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。後者は、電力会社や産業界からのDAC技術開発や、CO2を燃料や化学製品などの有価物に転換し輸送するための技術開発など22のプロジェクトに3,800万ドルを拠出するもので、プロジェクトでは、商業的な実現可能性と技術的観点からコストギャップを検証し、同時にその技術が環境や地域社会に与える影響についても検討する(22のプロジェクト詳細はDOEホームページ参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

DACに関連して、エネルギー省では202111月にCO2の回収・貯留コストを1トン当たり100ドル未満に下げるとともに、ギガトン規模(1ギガトン=10億トン)でのCO2回収を可能にするなどの目標を掲げている。非営利機関の世界資源研究所によると、現状の1トン当たりのCO2回収コストは250ドルから600ドル程度とされている。またDOEによれば、1ギガトンのCO21年間に約25,000万台の自動車が走行した際のCO2排出量に相当するとしている。今回のプロジェクトはこうした目標をサポートするもので、DOEのジェニファー・グランホルム長官は「本日発表されたプロジェクトは、地域経済の活性化を支援し、取り残されがちな地域社会に環境上の利益をもたらすと同時に、私たちを気候目標の達成に近づけてくれるだろう」と述べた。

DACについては、インフラ投資雇用法やインフレ削減法において多額の資金が手当てされていることから、工場建設や技術開発が盛んになっている(2022年12月20日記事参照)。直近では、東京ガスが20231月に、先進的DAC技術を有する米国グローバルサーモスタットへ出資を決めるなど(2023年2月3日記事参照)、日系企業においても関連した動きが盛んになってきており、今後もDAC関連の動きに注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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