税率引き下げを含む付加価値税法の改定を公布

(モザンビーク)

マプト発

2023年02月01日

モザンビーク政府は2022年12月28日付で法律第22/2022号を公布し、付加価値税(VAT)率の変更を伴うVATコードの改定を実施した。同法は1月1日から適用されている。今回、8つのVATコードの条項が改定された。

最も大きな変更点は、VATの税率を17%から16%に引き下げたことだ(第17条)。今回の引き下げは、政府が2022年8月に発表した経済刺激策(2022年8月19日記事参照)で示した施策に含まれており、今回それが実行されたかたちだ。改定法案決議に先立つ国会での議論では、野党・モザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)とモザンビーク民主運動(MDM)が国民の税負担軽減などを理由に、14%への引き下げを主張していた。一方、与党・モザンビーク解放戦線(FRELIMO)は、今回の税率16%への引き下げは南部アフリカ諸国の平均であるVAT税率15%に段階的に近づけることを目的としており、税率引き下げの影響を評価中としていた。

なお、今回の改定により、複数分野について期限付きのVAT非課税製品を規定した。例えば、砂糖やサトウキビ生産を含む砂糖精製産業に由来する製品、食用油・せっけん、およびこれらの産業に由来する製品は2023年12月31日までVAT非課税の対象となった(第9条13項)。同製品群は2020年5月から同年12月の約8カ月間、新型コロナウイルス感染拡大の影響で疲弊していた経済と国民生活へのマイナス影響を緩和させるために、一時的にVAT非課税の対象となっていた。今回の改定は同措置の実質的な見直しとなる。

また、農村で使われるソーラー発電用資機材についても、2025年12月31日までVAT非課税となった(第9条15項)。本製品を対象に追加した背景として、特に電化率の低い農村部で政府が電化率改善を後押したいという意図がある。2020年時点で国内の電化率は、都市部が75%なのに対し、農村部は4.5%となっている。政府は今後、電力設備の多様化や再生可能エネルギーの増強を推進していく構えだ(2022年10月31日付地域・分析レポート参照)。

(松永篤)

(モザンビーク)

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