2022年カスピ海輸送実績は前年比2.5倍、2030年までの輸送構想を発表

(カザフスタン)

タシケント発

2023年02月20日

カザフスタンの最大都市アルマトイで2月8日、国際協会「カスピ海国際輸送路」(注1)の総会とワーキンググループ会合が開催された。同輸送路を通じた2022年の輸送量は大幅に増加しており、さらなる拡大に向けての取り組みや課題が議論された。

総会では2022年の貨物輸送量実績が報告され、同輸送路の貨物輸送量は150万トン(前年比2.5倍)、コンテナ輸送量は3万3,600TEU(20フィートコンテナ換算、前年比33%増)だった(国際協会「カスピ海国際輸送路」ウェブサイト2月8日)。このうち、カザフスタンの貨物輸出量は89万1,000トン(前年比6.5倍、国営カザフスタン鉄道ウェブサイト2月8日)と大幅に増加した。総会では2023年の貨物輸送量計画が承認され、定期的なシャトルトレイン(注2)の運行と輸送サービス商品の統一化を目指すことが合意された。また、貨物誘致の効率化やコンテナ輸送の課題についても議論された。

カザフスタンでは物流ハブ機能の強化へ

カザフスタン政府は2月2日、「国内運輸・物流の潜在能力を高めるための開発構想2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を打ち出した。カザフスタンの鉄道、道路(トラック)、水運、航空輸送など、国内の運輸・物流を総合的に開発し、2030年までに輸送のコストパフォーマンス、安全性、機動性の面で国際競争力を高め、物流ハブとしての地位を確立する(産業インフラ発展省ウェブサイト2月2日)。具体的には、a.国際物流幹線道路の拡張(4車線以上)、b.主要鉄道網の列車運行速度の向上、c.航空運輸の利用者数の増加、d.コンテナ輸送能力の増強(200万TEUまで)、e.液化天然ガス(LNG)燃料車と電気自動車のシェア拡大、f.鉄道の電化区間の拡張、g.航空安全基準、国際空港インフラでの国際基準の順守などを通じて実現する。

カザフスタン政府はこの構想をもとに、カスピ海沿岸の港湾施設への船舶航行管理システム(VTS)の導入や、クリク港(2019年11月27日記事参照)での多機能ターミナルの建設、タンカーの建造や運航プール(2023年1月27日記事参照)、中国国境バフトまでをつなぐ鉄道敷設(2022年10月19日記事参照)、幹線道路上で安定したインターネット接続を実現させるための衛星システム導入など、物流インフラ整備を計画中だ(カピタルKZ 2月2日)。

写真 中国と欧州を結ぶE38号線の一部では片側1車線の箇所が残る(アクトベ州カラブタク村付近、2022年12月3日ジェトロ撮影)

中国と欧州を結ぶE38号線の一部では片側1車線の箇所が残る(アクトベ州カラブタク村付近、2022年12月3日ジェトロ撮影)

写真 E38号線を走るキルギスナンバーのトラック(西カザフスタン州、2022年12月3日ジェトロ撮影)

E38号線を走るキルギスナンバーのトラック(西カザフスタン州、2022年12月3日ジェトロ撮影)

(注1)ミドル・コリドー(中部輸送路)とも呼ばれる。

(注2)特定の駅を結び、途中駅でコンテナの再配列などは行わない定期運行サービス。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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