欧州環境庁、循環型プラスチックの推進に向け実践例を報告

(EU)

ブリュッセル発

2023年02月22日

欧州環境庁(EEA)は2月20日、プラスチックのライフサイクル全体を通じて、循環型経済に配慮し、持続可能な利用を目指す実践例をまとめた説明資料を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。現代において必要不可欠なプラスチック使用を、より循環型で持続可能なシステムへ転換するには、プラスチックのバリューチェーン全体で改善が重要だと、背景を説明。プラスチックの生産と消費をより持続可能にする上で、(1)スマートな使用、(2)循環性向上、(3)再生可能な材料の利用拡大、という3つの論点を示した。

プラスチックのスマートな使用は、再利用や修理を容易にする製品設計や、自動車や道具のシェアリングサービス、食品産業における木箱やパレットの再利用などのかたちで、既に欧州で取り組まれているという。プラスチックの循環性の向上では、混合プラスチックを含む欧州のリサイクル材市場の機能改善が不可欠だとした(2023年2月7日記事参照)。再生可能な材料の利用拡大の例として、バイオベースのプラスチックを挙げ、食料や飼料の生産と競合しない第2世代および第3世代の原料に焦点を当てるべきとしている。

プラスチックのスマートな使用が徐々に普及

EEAによれば、優れた実例のほとんどは現状では小規模なもので、循環型プラスチック経済を強化するためには、規模の拡大が必要としている。設計、生産、使用段階よりも、廃棄物管理でより多くの取り組みがみられるものの、近年はプラスチックのスマートな使用も普及しつつある。

スマートな使用を実践するビジネスモデルとして、製品の所有からサービスの利用や共有への移行や、包装材の使用削減を挙げた。具体例として、再利用可能なカップ、フォークやナイフなどをイベント実施時での使用やレストランがレンタルできるビジネスを挙げ、同例は、2023年1月からファストフード店の店内で使い捨て容器の使用が禁止されたフランスにみられるという。フランスではまた、2023年1月からリサイクルの可能性やリサイクル素材の利用率などに関する情報公開が義務付けられる(2022年11月21日記事参照)など、他の加盟国に先駆けた取り組みが行われている。

(大中登紀子)

(EU)

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