アマゾン森林保護などに欧州諸国が2億300万ユーロを支援

(ブラジル、ドイツ)

米州課

2023年01月31日

ブラジル環境・気候変動省は1月30日、マリーナ・シルバ環境・気候変動相がドイツのスベニャ・シュルツェ経済協力・開発相と会談を行い、ブラジルのアマゾン森林保護など社会・環境問題解決に向け欧州諸国から2億300万ユーロを受領することを明らかにした。持続可能な開発、森林伐採の防止と対策、森林経済のソーシャル・インクルージョン、バイオエコノミーに関連する製品に関するアファーマティブ・アクション(注1)の促進、先住民族の保護などの政策に対応する。

2億300万ユーロのうち、3,500万ユーロはアマゾン基金の運営に充てられる。アマゾン基金は、2023年1月1日に発足したルーラ政権下で法定アマゾン(注2)保護の目的で設立されたもの。1月2日付の政令11.368号では、同基金への寄付金を公募していた(2023年1月12日記事参照)。3,100万ユーロは、アマゾナス州における森林の保護と持続可能性を目指す「アマゾン森林減少阻止・管理計画(PPCDAM)」の推進に向けられる。同計画は、2004年の第1期ルーラ政権下で開始した、継続的な森林破壊の減少や持続可能な開発を目指す目的で立てられたもの。現政権下では、同計画の内容の更新が検討されている。また、537万ユーロは、産業界および運輸部門における再生可能エネルギーの促進に充てられる。これに関して、ドイツ国際協力公社(GIZ)によるコンサルティングも行われる。

会談後に、シルバ環境・気候変動相とシュルツェ経済協力・開発相は共同記者会見を行い、シュルツェ氏は「ブラジルがパリ協定の下で目標を達成し、2030年に森林破壊撲滅を達成し、先住民族の土地を破壊しないことを望む」と述べた。

(注1)ポジティブ・アクションともいわれ、日本語では「積極的格差是正措置」「積極的差別是正措置」などと訳されることが多い。

(注2)ブラジル政府は、アマゾンとその周辺のセラード(熱帯草原)部分を含めた地域を「法定アマゾン」と定めている。

(辻本希世)

(ブラジル、ドイツ)

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