米ホワイトハウス、メリーランド州ボルチモア・ポトマックトンネル改修に最大47億ドル拠出を発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月01日

米国ホワイトハウスは1月30日、メリーランド州ボルチモアにあるボルチモア・ポトマックトンネルの改修に最大47億ドルを拠出することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資金はインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)で計上した予算から拠出する。

同トンネルは約150年前に建設された全長1.4マイル(約2.3キロ)で、老朽化が目立っており、ホワイトハウスはこのトンネルを「首都ワシントンとニュージャージーの間の鉄道移動の最大のボトルネック」としている。その原因として、きつい湾曲と急な勾配が挙げられ、これにより列車は時速30マイル(約48キロ)にまで減速する必要があり、平日は10%以上の電車が遅延し、平日は99%の確率で遅延が発生しているという。改修は湾曲をより緩やかなトンネルの新設などを行う予定で、これによりトンネルを通過する列車は時速110マイル(約177キロ)まで出せるようになり、移動時間の短縮が見込まれるとする。また、工事による経済効果として、約2万人分の建設の仕事を含む3万人分の雇用を生み出すことが期待されるとしている。

上院議員時代に通勤に鉄道を利用し、同トンネルを「1,000回通り抜けた」と語るジョー・バイデン大統領は同日に同トンネルを訪問して演説を行い、「このトンネルは約150年前のもので、南北戦争の時代にさかのぼる。構造は劣化し、屋根は水漏れし、床は沈んでいる。これが米国だ」と述べて、インフラ改修の必要性を強調した。

また、ホワイトハウスは1月31日、インフラ投資雇用法から全国の9つのインフラプロジェクトに対して約12億ドルの拠出を決めたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。プロジェクトには、ニューヨーク市とニュージャージー州を結ぶハドソントンネルプロジェクト(2022年3月28日記事参照)への2億9,200万ドル以上の拠出が含まれており、同プロジェクトにより、7万2,000人の直接・間接雇用が創出されるほか、労働組合との提携による職業訓練の実施も見込まれている。同日、バイデン大統領はハドソントンネルを訪れて演説を行い、「他の者は止めようとしたが、私はこの工事が国家の優先事項であることを明確にした」「ウォール街は重要だが、ウォール街がこの国を築いたのではない。中産階級がこの国を築き、労働組合が中産階級を築いた」と述べて、自身の実績と政治姿勢を強調した。

(宮野慶太)

(米国)

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