加速する人口高齢化、政府が改定アクションプラン発表

(シンガポール)

シンガポール発

2023年02月02日

シンガポールのオン・イエクン保健相が委員長を務める高齢化閣僚委員会は1月30日、急速な人口高齢化への包括的な対応策「2023年度・高齢化を成功裏に迎えるためのアクションプラン」を発表した。同アクションプランは2015年に発表したプランを改定したもので(2018年9月4日付地域・分析レポート参照)、高齢者が余生を健康に過ごすための対応策と目標をまとめている。

新アクションプランによると、高齢者を対象にしたコミュニティー施設「アクティブ・エイジング・センター(AIC)」を2025年までに220カ所とする目標だ。また、2025年までに高齢者の交通安全のため、車の運転者に徐行運転を義務付ける地区「シルバーゾーン」を50カ所とするほか、歩道橋100カ所にエレベーターを設置する計画だ。さらに、認知症のリスクのある高齢者を見つけ、検査を促す支援チームを現行の61から、2025年3月までに73に増やす。このほか、国民の多くが自宅で最期を迎えることを希望しているとして、病院で死亡する人の割合を現行の61%から、2025年に51%へと引き下げることを目標としている。

政府は高齢者の雇用を支えるため、高齢者の一部給与を雇用主に補助する「高齢者雇用クレジット〔Senior Employment Credit、月給4,000シンガポール・ドル(約39万6,000円、Sドル、1Sドル=約99円)以下が対象〕」について、支給期限を2023年から2025年まで延長する。また、高齢者をパートタイムで再雇用するのを奨励するため、「パートタイム再雇用補助金(Part-time Re-employment Grant)」の支給期限も2023年から2025年に延長する。

同国の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は2012年の11.1%から、2022年に18.4%に拡大した。政府の予測では、さらに2030年に23.8%と、4人に1人が高齢者となる見込みだ(2022年9月30日記事参照)。アクションプランによると、2030年に1人暮らしの高齢者は推定8万3,000人、日々の生活で一部行動に補助が必要な「軽度の障害」を持つ高齢者が約10万人に上ると見込まれている。オン保健相は演説で「高齢化政策の根幹は、寿命と同じくらい健康年齢を延長することにある」と強調した。

同アクションプランは、保健省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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