渡航規制解除による外国人就労者増、2022年人口増に転化

(シンガポール)

シンガポール発

2022年09月30日

シンガポール首相府戦略グループの発表(9月27日)によると、同国の6月時点の総人口は563万7,022人と、前年比3.4%増加した。新型コロナウイルスの流行に伴う渡航規制による外国人の減少で、同国の人口は2020年と2021年の2年連続で減少していた(2021年9月30日記事参照、注1)。2022年に入って渡航規制が段階的に解除され、外国人労働者の入国が増加したことなどにより、人口が3年ぶりに増加に転じた。しかし、人口は依然として、新型コロナウイルス流行前の2019年の570万3,569人を下回っている(添付資料図参照)。

総人口のうち、外国人〔永住権者(PR)を除く〕は156万3,783人と6.6%増加した。渡航規制の緩和により、外国人就労者数は6月時点で、前年同月と比較して9万8,000人増加した。発表によると、外国人就労者の中でも特に建設・造船・石油プラント部門で働く低熟練外国人向けの就労査証「ワーク・パミット」の保持者が増加した。

国民は355万3,749人と前年比1.6%増加した。外国人のPRは51万9,490人と6.3%増加した。この理由について、首相府は、渡航規制の緩和により海外在住の国民やPRの帰国が増えた結果だと説明した(注2)。

少子高齢化が加速、2030年に4人に1人が65歳以上に

一方、シンガポールでは一段と少子高齢化が加速している。人口に占める65歳以上の高齢者の割合は2012年には11.1%だったが、2022年に18.4%に拡大した。政府は高齢者の割合がさらに2030年に23.8%へと拡大し、4人に1人が高齢者になると予想している。この背景には、同国のベビーブーマー世代(1946~1964年生まれ)が続々と高齢者入りしていることがある。

また、永住権者を含む出生率(合計特殊出生率)は2021年に1.12と、過去最低だった2020年の1.10を上回ったが、依然低い水準にある。65歳以上の高齢者1人当たりに対する現役世代(20~64歳)は2012年に6.7人だったのが、2022年に3.8人に減っており、高齢者を支える現役世代が急速に縮小している。

(注1)シンガポールの人口は、国民と外国人の永住権者(PR)、外国人で構成する。外国人は留学生と就労許可を持って働く在住者で、短期滞在者や観光客は含まれない。

(注2)国民と永住権者(PR)で海外に続けて12カ月以上滞在している場合には、人口統計に反映されない。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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