韓国、2022年の合計特殊出生率が過去最低の0.78に
(韓国)
中国北アジア課
2023年02月27日
韓国統計庁は2月22日、2022年の合計特殊出生率(暫定値)が前年比0.03減の0.78で、OECD加盟国の中で最下位になったと発表した。粗出生率(人口1,000人当たりの出生数)は前年比0.2人減の4.9人だった。また、2022年の出生数は前年比1万1,500人減(4.4%減)の24万9,000人と、出生統計の作成を開始した1970年以降、最小となった(2022年8月29日記事参照)。
出生率が低下している要因の1つとして、高齢出産化が進んでいることが挙げられる。女性の年齢別の粗出生率は、30代前半が73.5人と最も多いが、前年比で2.6人減少した。続いて、30代後半が0.5人増の44.0人、20代後半が3.5人減の24.0人だった。統計から35歳未満の粗出生率が低下し、35歳以上の粗出生率が上昇していることが分かる。
また、2022年の死者数は、37万2,800人と前年比で5万5,100人増加した。出生数から死者数を差し引いた自然増減数は12万3,800人減と、過去最大の減少を記録した。
「聯合ニュース」は社説に当たる「聯合時論」(2023年2月22日)で、今後、低出産・高齢出産化が進み、人口減少が加速化する恐れがあると懸念を示した。また、韓国の合計特殊出生率は2013年以降毎年、OECD加盟国最低を記録し、2020年には1以下の唯一の国になった点に言及した。その上で、韓国政府は2006年から2021年までの16年間に少子化対策に280兆ウォン(28兆8,400億円、1ウォン=約0.103円)を投入してきたが、出生率低下の傾向を変えることには失敗したと言わざるを得ない、と結論付けた。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領政権時に高騰した住宅価格や、教育費など子育て費用の増加、女性の社会進出などで、結婚や出産を躊躇する人が増加している中、今後の政府対応が注目される。
(益森有祐実)
(韓国)
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