2021年の合計特殊出生率は0.81、少子化問題さらに深刻に

(韓国)

中国北アジア課

2022年08月29日

韓国の統計庁は824日、「2021年の出生統計」を発表した。2021年の出生数、合計特殊出生率、粗出生率(人口1,000人当たりの出生数)の全てが出生統計の作成を開始した1970年以降最低値となった。

2021年の出生数は26562人と前年比11,775人減少(同マイナス4.3%)した。2011年の471,300人から10年間で20万人以上減少している。合計特殊出生率は前年比0.03ポイント低下した0.81で、2017年以降5年連続で最低値を更新している(添付資料表1参照)。粗出生率は前年比0.2ポイント低下の5.1となった。

母親の年齢別の出生率(該当する年代の女性1,000人当たりの出生数)は、30代前半(3034歳)が76.1人と最も多く、続いて30代後半(3539歳)が43.5人、20代後半(2529歳)が27.5人だった。経年で比較すると、35歳未満の出生率は年々低下している一方、30代後半の出生率が前年(42.3人)比で小幅上昇した。

出産年齢の高齢化も顕著だ。母親の平均出産年齢は33.4歳と前年比0.2歳上昇し、第1児の出産年齢は32.6歳と前年比0.3歳上昇した(添付資料表2参照)。母親の年齢別の出生数を見ると、40歳未満の全ての年齢層で減少した一方、40代前半(4044歳)では1,200人増加した。

合計特殊出生率(2020年基準)が1を下回っているのはOECD加盟38カ国の中で韓国(0.84)のみで、平均値の1.59を大きく下回る。第1子の出産年齢もOECDの平均(31カ国)が29.4歳のところ、韓国は2021年に32.6歳とやはり最も高い。

2022年も出生率は低下傾向、人口さらに減少か

同庁が同日発表した「20226月の人口動向(出産、死亡、婚姻、離婚)」によると、2022年上半期の出生数は128,138人と、前年同期比6.0%減だった。合計特殊出生率をみると、第1四半期(13月)は0.86(前年同期比0.02ポイント低下)、第2四半期は(46月)0.75(同0.07ポイント低下)といずれも前年同期比で下がっている。

死亡者数では、2022年上半期は年始の新型コロナウイルス感染爆発によって前年同期比27.0%増の193,768人だった。出生数から死亡者数を差し引いた自然減少数は20226月時点で65,631人と、半年で2021年通年の自然減少数を超過した。出生数の増加が見込めない中、高齢化も進んでおり、韓国の人口問題は今後さらに深刻化しそうだ(2022年8月29日記事参照)。

(向野文乃)

(韓国)

ビジネス短信 4256ed13112a6fae