2022年の自動車市場が50万台規模へ成長

(ベトナム)

ハノイ発

2023年02月17日

2022年のベトナム国内の新車販売台数は、過去最高の約50万台となった。ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、同年のベトナムの新車販売台数は404,635台で、前年比33.0%増だった(添付資料表1参照、注1)。ベトナム計画投資省の自動車産業担当者によると、VAMAの発表に含まれていないメーカーの新車販売台数を合わせると、509,141台になったという(注2)。新型コロナ禍からの経済回復と、国産車の自動車登録料を減額する政府の支援(2021年12月3日記事参照)が需要を後押しした。一方、景況感の悪化や金利の上昇などの影響から、VAMAが公表した202212月の新車販売台数は前年同月比30%減と大きく失速しており、2023年は見通しにくい状況だ。

販売台数をメーカー・ブランド別にみると、トヨタ(レクサスを除く)が前年比34.9%増の91,115台で最多だった。起亜が33.4%増の6729台、三菱自動車が46.3%増の39,861台、マツダが32.1%増の36,052台と続いた。日本車ブランドの販売数を合わせると232,000台に達し、全体シェアの5割近くを占める。

販売台数を車両タイプ別にみると、乗用車が316,941台(前年比47.8%増)、商用車が82,714台(1.5%減)、特殊車両が4,980台(13.8%減)だった。乗用車が販売数の伸びを牽引した(添付資料表2参照)。

生産形態別にみると、国産車(CKD)が226,487台(前年比30.1%増)、輸入車(CBU)が178,148台(37.0%増)で、特にCBUの販売の伸びが大きかった(添付資料表3参照)。

ビンファストのEV12月に4,278台出荷

地場自動車メーカーのビンファストのウェブサイトによると、12月の電気自動車(EV)の国内での納車台数は月間最高となる4,278台だった。2022年、ビンファストはベトナム企業として初めてEVを米国輸出したことに加え(2022年12月6日記事参照)、国内で少なくとも7,080台を納車したことになる(注3)。

しかし、充電ステーションの設置が十分ではなく、購入する層は限られるようだ。EVの国内市場について、ある自動車メーカーの担当者は「長距離移動を考えると、まだ実用には難しい。現状では(ガソリン車を所有している人が)2台目にEVを購入するケースがほとんどのようだ」と話している。

(注1VAMA加盟企業の販売実績と非加盟企業のCBUの合計。

(注2)計画投資省の自動車産業担当者によると、VAMAの実績に含まれていないビンファストとヒュンダイ・タインコンのCKDの販売台数は、それぞれ約23,000台、7万台。このほか、地場企業複数社のCKDを計上しているという。

(注3)公表されている販売台数(20221月~82,208台、11594台)との合算。9月、10月の台数や通年の売上情報は未公表。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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