2022年の米中貿易は微増も過去最高を更新、蓄電池の対米輸出が急増

(中国、米国)

中国北アジア課

2023年02月16日

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に、2022年の中国の対米貿易(ドルベース)をまとめたところ、輸出額は前年比0.9%増の5,815億6,471万ドルと、3年連続増加したものの、微増にとどまった。輸入額は1.0%減の1,776億5,315万ドルで、2019年以来3年ぶりに減少。これにより対米貿易額は0.4%増の7,592億1,786万ドルと微増し、3年連続の増加で、前年に続いて過去最高を更新した。月別推移をみると、輸出は2022年8月以降、輸入は7月以降、前年同月比で減少が続いた。

自動データ処理機械などは減少

中国の対米輸出について、HSコード4桁ベースで金額順上位10品目をみると、品目によって増減の傾向が大きく分かれた(添付資料表1参照)。

1位の電話機(8517)は前年比8.0%増の576億5,456万ドル、4位の自動車の部分品および付属品(8708)は0.8%増の116億3,355万ドル、6位の蓄電池(8507)は98.8%増の109億1,982万ドルだった。リチウムイオン蓄電池(850760)が輸出額の92.7%を占めた蓄電池は2021年も88.6%増となっており、近年増加が顕著だ。電気自動車(EV)の普及を目指すバイデン米政権の下、米国でのEV販売の好調さを背景に、中国からの輸出が急増している(2022年11月24日付地域・分析レポート参照)。なお、中国の2022年の蓄電池の輸出先(金額ベース)上位をみると、1位が米国、2位がドイツ(輸出額79億8,554万ドル)、3位が韓国(同54億3,656万ドル)だった。

2位のノートパソコンなどの自動データ処理機械(8471)は8.4%減の541億8,632万ドルだった。新型コロナウイルス禍で輸出を牽引してきたが(2020年16.5%増、2021年16.4%増)、米国で巣ごもり需要の一服感がみられたこともあり、減少に転じた。このほか、3位の三輪車、その他車輪付き玩具など(9503)、5位の照明器具およびその部分品(9405)、7位の腰掛けおよびその部分品(9401)などが減少した。例示した3品目は前年の伸び率がいずれも3割以上となっており、前年増加の反動減も一因と考えられる。

輸入についてHSコード4桁ベースで上位10品目をみると、1位の大豆(1201)が12.5%増の190億2,464万ドルとなったほか、5位の石油および原油(2709)が2.3%増の57億5,380万ドル、8位のターボジェットなど(8411)が20.0%増の47億6,262万ドルと増加した(添付資料表2参照)。その他品目は軒並み減少した。

ただし、大豆、石油および原油は金額ベースで増加したが、数量ベースではそれぞれ8.6%減、31.2%減となっており、国際的な価格上昇がこれら商品の輸入額を押し上げたことがうかがえる。

また、対米輸入の主力商品の半導体関連製品をみると、2位の集積回路(8542)は22.6%減の121億8,219万ドル、6位の半導体、集積回路などの製造用機器(8486)は21.6%減の54億4,485万ドルと、ともに2桁減となった。新型コロナのオミクロン株が複数地域で拡大し、中国国内の生産活動が停滞したが、これらの商品輸入もその影響などを受けたと思われる。なお、それぞれ世界からの輸入額も4.1%減、15.4%減と減少した。

(宗金建志)

(中国、米国)

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