メキシコ国境から米国へ入国しようとする移民数は月20万人超の状況続く、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2023年01月16日

メキシコ国境から米国に入国しようとする移民数が月20万人を超えていることが、シンクタンクの調査でわかった。

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは1月13日、メキシコの国境から米国に入国しようとする移民に関する調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、税関・国境警備局(CBP)のデータに基づく。それによれば、メキシコ国境から米国に入国しようとする移民の数は、新型コロナ禍の影響で2020年4月に月間1万6,182人にまで減少したが、その後増加を続け、2022年5月に22万4,370人のピークを迎えた後も、11月に20万6,239人と月間20万人超の状況が続く。2000年3月には月間22万63人を記録したが、その後は2018年末ごろまで減少傾向が続いていた。

メキシコ国境からの移民の出身国については変化が顕著で、2020年4月の時点ではメキシコとエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスが大多数を占め、その後はその他の国からの移民が増え続け、2022年11月には63%に達した。特にコロンビア、キューバ、ニカラグア、ペルー、ベネズエラからの移民が増加している。

また、メキシコ国境からの移民に対応する制度としては、2020年5月時点では、主にトランプ前政権時に発動された「タイトル42」〔合衆国法典(USC)第42編:公衆衛生および福祉〕が適用されていたが、「タイトル8」(USC第8編:外国人および国籍)の適用が増加して、2022年11月時点では、「タイトル8」が68%、「タイトル42」32%という状況だ。「タイトル42」は、トランプ政権時の2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大を理由に発動され、亡命申請者を米国内に滞在させず即時に本国へ強制送還する根拠となった。「タイトル8」は、行政府に対して、許可なく米国に入国した者および米国滞在の法的根拠を確立できない者を国外退去させることに加え、将来的な移民手続きも禁じるなどの権限を与えている。

バイデン政権は2023年1月5日、増え続けるメキシコ国境からの不法入国者への対策として、キューバ、ハイチ、ニカラグアからの入国者に対する臨時入国許可制度を含む措置を公表している(2023年1月6日記事参照)。

(松岡智恵子)

(米国)

ビジネス短信 fe114c432f8018dd