メキシコ、カナダとの首脳会談で、エネルギー政策に反対する民間企業との対話提案

(メキシコ、カナダ)

メキシコ発

2023年01月17日

北米3カ国首脳会談後の111日、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領とカナダのジャスティン・トルドー首相は両国の懸案となっているメキシコのエネルギー政策について会談した。

AMLO大統領は、メキシコのエネルギー政策に反対する民間企業との対話のチャネルをつくることを提案した。AMLO大統領はトルドー首相に対して、懸案事項を抱える企業の代表者と会うことを再確認し、「われわれは常にオープン」と語った。また「電力事業を行っている企業について議論した。メキシコへのカナダの投資はかつてないほど大きく成長しているため、これらのビジネスや経済関係に関して生じる問題や相違の解決を目指す」と述べた。AMLO大統領はカナダを拠点とするTCエナジーによるメキシコ湾での天然ガスパイプライン建設を引き合いに出して(注)、「これは大規模な投資であり、メキシコ南東部にガスを供給することを意味するため、非常に重要だ」と説明した。

トルドー首相は「北米の貿易関係は現在統合され、サクセスストーリーに満ちているが、CUSMA(カナダ・米国・メキシコ協定)に影響を与える可能性のある脅威や紛争が常に存在するため、現状を決して当然のこととして考えるべきではない。」と述べ、米国のトランプ前政権が行ってきた保護主義政策を牽制した。また「カナダは世界と北米にエネルギーとクリーンテクノロジーの信頼できる提供者になる準備ができている」と強調した。具体的には、「われわれはエネルギーを生産できるように、風力、太陽光、水素、炭素回収技術に投資している。2022年は電気自動車(EV)と重要鉱物の製造への投資を世界中から集め、約7万人の雇用を確保した」と説明し、エネルギー分野のカナダのポテンシャルの高さを強調している(「エル・フィナンシエロ」紙111日)。

(注)2019年に電力庁(CFE)とTCエナジーの子会社を含む民間企業との天然ガスパイプライン建設運営契約の見直しをめぐり、民間企業側が仲裁申し立てを行ったが和解した経緯がある(2019年8月28日記事参照)。また、カナダ政府と米国政府はCFEを優遇する電力産業法の改正などを受け、20227月にそれぞれ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)協定に違反するとして、協定第31章(紛争解決)の規定に基づき、協議を行っている(2022年8月9日記事参照)。同協議の過程で、メキシコ政府は同年12月にエネルギー政策の問題解決に向けたワーキングプランを提出している(2022年12月23日記事参照)。

(阿部眞弘)

(メキシコ、カナダ)

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