中国が最大の自動車輸入相手国に

(メキシコ、中国)

メキシコ発

2023年01月18日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)の統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年の中国製自動車輸入販売台数は前年比約2.2倍の173,583台に達し、米国、ブラジル、日本、インドなど他の主要国を上回り、輸入車販売全体の23.8%を占めた(添付資料表1参照)。近年は米国系完成車メーカーを中心に、中国、韓国、インドなどアジアから国内市場向けの小型車を輸入し、メキシコ工場は米国市場における販売の主流となるスポーツ用多目的車(SUV)やピックアップトラックの生産に集約する動きが見られていた。この流れに加え、MG(上海汽車傘下)、長安汽車(Changan)、北京汽車(BAIC)、江鈴汽車(JMC)など中国系メーカーのメキシコ市場における販売が本格化したことが中国からの輸入急増の要因だ。なお、完成車輸入ではないが、中国の江淮汽車(JAC)がメキシコでセミノックダウン生産した自動車が2022年に前年比99.4%増の16,357台の販売を記録している。

2022年の中国製自動車販売台数を企業別でみると、ゼネラルモーターズ(GM)が首位で前年比83.6%増の107,772台、MGモーターが約2.9倍の48,112台、ステランティス(クライスラー・ブランド)が約4.1倍の9,119台、長安汽車、北京汽車、江鈴汽車の自動車を輸入販売するモーターネーションが約3.6倍の5,847台と続く(添付資料表2参照)。

中国からの自動車輸入の急増によりラサロカルデナス港が飽和状態

中国からの自動車輸入の急増は、太平洋岸最大の自動車貿易港であるミチョアカン州ラサロカルデナス港での自動車専用ターミナルとヤードの飽和を招いており、日本からの自動車輸入も含め、同港に到着する完成車の輸入通関に大きな遅延を生じさせている。日系船会社へのヒアリングによると、同港での飽和は2022年後半に深刻化し、以前は長くても2日程度の滞船だったものが、20228月には7日、9月には最長で30日の滞船日数に達している。遅延の原因は、急速な取扱量増加による自動車専用ヤードの飽和に加え、税関の処理能力の問題、鉄道の貨車および便数の不足、車両運搬用トレーラーの不足、トラック運転手の不足などさまざまな要因が考えられるものの、中国からの自動車輸入の急増が一因となっていることは間違いない。

太平洋岸最大の港であるコリマ州マンサニージョ港は、総敷地面積がラサロカルデナス港に比べて狭いことから、コンテナの取り扱いだけで既に飽和状態にあり、自動車の取扱量を増やすことはできない。シナロア州のマサトラン港などの代替港の活用も進んでいるが、メキシコにおける中国製メーカーの販売拡大のスピードに太平洋岸の処理能力が追い付いていない状況にあり、今後も、アジアからの自動車輸入通関の遅延は続く見通しだ。

(中畑貴雄)

(メキシコ、中国)

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