米カリフォルニア州知事が嵐の被災地支援へ行政命令発出、死者20人に
(米国)
サンフランシスコ発
2023年01月20日
米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は1月16日、2022年末から続く深刻な冬の嵐の影響を受けた地域に対する支援を強化する行政命令を発表した。同州は地方自治体や連邦政府機関と連携を取りながら、洪水や土石流などの緊急事態に対応している。行政命令によると、1月16日時点で死者は少なくとも20人に上る。
カリフォルニア州では、2022年末から断続的に続く暴風雨の影響で各地に甚大な被害が出ている。3週間で9つの「大気の川」が同州を襲い、12月26日~1月11日の降雨量は24兆5,000億ガロン(約93兆リットル)と推定されている。この降雨量は、同州最大の貯水湖のシャスタ湖の16個分に相当する量だ。また、12月31日以来、州全土で500カ所以上の土砂崩れが報告されている(「サンノゼ・マーキュリー」1月17日)。ニューサム知事は1月4日に非常事態宣言を発令し、9日にはジョー・バイデン大統領が同州の複数の郡で災害救助支援を行うための非常事態宣言を発令した(2023年1月11日記事参照)。また、バイデン大統領は14日、サクラメント郡、サンタクルズ郡、マーセッド郡を対象に大災害宣言も発令し、当該3郡の住民や事業主は連邦政府による経済的支援を受けられるようになった。同州も18日に、嵐の影響を受けた事業主や納税者に対し、支払い遅延による利子や罰金を免除する措置を発表している。
カリフォルニア州では近年、深刻な干ばつが大きな課題となっているが、2022年末から続いた嵐の影響により、貯水湖の水位や山間部の雪塊量は増加した。州内の主要貯水湖の水位レベルは1月10日時点で平均値の94%まで回復しており、水資源となる山間部の雪塊量もピーク時平均の120%となっている。ニューサム知事が2022年5月に干ばつのため節水義務の強化を呼び掛けた際には、貯水湖の水位レベルは平均値の7割ほど、雪塊量はピーク時平均の4%しかなかった(2022年5月31日記事参照)。
(田中三保子)
(米国)
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