米カリフォルニア州知事、干ばつ理由に節水義務化を警告、一部では水道事業者が取り締まり強化

(米国)

サンフランシスコ発

2022年05月31日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は5月23日、州内3分の2を管轄地区とする複数の都市水道事業者や水道協会関係者と面会し、極度の干ばつに対応するため、水の使用を削減する努力を強化するよう呼びかけた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同州によると、5月26日時点で、州内主要貯水湖の水位レベルは平均値の7割ほどしかなく、貴重な水資源となる山間部の雪塊量もピーク時平均の4%しか残っていない。米国海洋大気庁などが発表している「米国干ばつモニター」によると、5月24日時点で、州内の37.75%が「深刻な干ばつ」、48.22%が「極度の干ばつ」、11.59%が「類のない干ばつ」の状態になっている(注1)。ニューサム知事はこれまで、州政府として節水義務を課さず、水道事業者が有効とする地域ごとの節水対策を受け入れてきたが、効果がみられない場合は、今夏、州全体で節水の義務化に踏み切る可能性もあると警告した。

ニューサム知事は2021年7月、水の使用量に関して、州民に対して2020年比で15%減とする自主的な節水を呼びかけたが、2022年3月末時点で節水目標に達していなかったことから、同年3月28日、水資源管理局に対して、工業用および商業用建物の屋外に敷設している装飾的な芝生への散水を禁止する規制導入の評価を求める知事令(N-7-22)を出していた。同州によると、2022年1~3月は過去100年間以上で最も乾燥した期間だったという。

同州水資源管理局は2022年5月24日、知事令(N-7-22)を受けて緊急水保全規制を採択したことを発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。これにより、大型の工業用および商業用建物の周囲に敷設している芝生への散水を禁止する(注2)ほか、都市水道事業者に対して、最大20%の節水に向けた行動を求める。具体的には、屋外の散水に対する頻度の制限設定や、節水のための巡回強化が含まれている。カリフォルニア北部に位置するサンタクララ郡の水道事業者バレー・ウォーターは5月24日、屋外での水の使用を制限するためのプログラムを6月1日から実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。事業者だけでなく、住民に対しても、装飾的な庭園や芝生への散水を最大週2日に制限し、降雨時と降雨後の48時間および日中(午前9時~午後6時)の芝生などへの散水や歩道に水をあふれさせることを禁止する。検査官が違反の通報などに応じて巡回を行う予定で、度重なる違反が確認されると最大1万ドルの罰金が科される。

(注1)米国海洋大気庁は干ばつの度合いを、(D0)異常な乾燥、(D1)中程度の干ばつ、(D2)深刻な干ばつ、(D3)極度の干ばつ、(D4)類のない干ばつの5段階に分類している。

(注2)娯楽目的などで使用される芝生、住宅地の芝生や樹木への水やりは対象外。

(田中三保子)

(米国)

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