チリが10カ国目となるTPP11批准国に、2023年2月に発効へ

(チリ、日本、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、ベトナム、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、ペルー)

サンティアゴ発

2022年12月27日

チリ外務省は12月22日、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の批准に国会が同意し、寄託国のニュージーランドに批准書を提出したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年2月に発効する。

同協定を巡っては、10月11日に国会が法案を可決していた。しかし、現政権が懸念材料として掲げていたTPP11第9章第B「投資家と国との間の紛争解決(ISDS)」メカニズムについて、チリは適応しないとするサイドレター(協定付属文書)への合意を他の参加国へ要求していたため(2022年10月13日記事参照)、批准が先延ばしされてきた。12月22日付の外務省発表によると、現時点でサイドレターに合意した国はニュージーランド、マレーシア、メキシコの3カ国のみ。政府の当初の意向に沿わないかたちでの批准に至っている。外務省は今後も他の参加国に対しメカニズム改善へ向けた働きかけを継続していくと強調している。

チリは11の参加国のうち、TPP11を批准した10番目の国となった。それぞれの参加国との間には既に自由貿易協定(FTA)などの個別協定が発効済みだが(注)、その上で、TPP11の発効によってチリが受ける恩恵は、約3,000品目の関税撤廃または引き下げだ(「ラ・テルセラ」紙12月23日)。同紙や外務省国際経済関係次官官房(SUBREI)によると、例えば、日本向けの農産物、カナダ向けの肉や乳製品、ベトナム向けの海産物、メキシコ向けの穀物や植物油、マレーシア向けのワインやピスコなどの酒類などがその対象として挙げられている。

(注)ニュージーランド、シンガポール、ブルネイとは環太平洋戦略的経済連携協定(P4協定)が発効している。

(岡戸美澪)

(チリ、日本、シンガポール、マレーシア、ブルネイ、オーストラリア、ベトナム、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、ペルー)

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