経済繁栄のための米州パートナーシップが12カ国で正式発足

(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)

ニューヨーク発

2023年01月30日

米国のアントニー・ブリンケン国務長官とキャサリン・タイ通商代表部(USTR)代表は1月27日、「経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)」に参加表明した11カ国の貿易相らを招いたバーチャル形式の閣僚会議を主催し、APEPの正式な発足を宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

APEPは、ジョー・バイデン大統領が2022年6月に主催した米州首脳会議で提唱した経済枠組みだ(2022年6月10日記事参照)。2022年秋ごろには参加国を確定させて、正式な交渉開始を予定していたが、しばらく進展が見られなかった。この度、提唱国の米国に加えて、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイの11カ国が参加を表明したことで、正式な発足にこぎつけた。バイデン大統領は「協力することで、競争力の向上、より強靭(きょうじん)な地域的サプライチェーンの構築、質の高い雇用の創出、気候変動への対応、米州の経済機関の再構築を含むわれわれの経済的な潜在力を最大限引き出すことができる」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。ホワイトハウスが公表したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、APEPは次の課題に焦点を当てて高水準の合意を目指していく。

  • 地域的競争力:税関手続きや貿易円滑化、物流、良い規制慣行、非関税障壁を含む、地域的競争力に関わる問題に焦点を当てる。
  • 強靭性:地理的近接性と深い通商関係をテコとして、サプライチェーンの持続可能性と強靭性を高め、中小事業を成長させる。同時に環境と労働者を保護する。
  • 繁栄の共有:労働力開発、高い労働基準、質の高い雇用の推進への投資、金融支援の拡充、腐敗や脱税などに対処しつつ公的サービスを改善するなど、人々の生活をより公平で安全にする方策に焦点を当てる。
  • 包摂的で持続可能な投資:必要な資金を確保し、地域経済機関を再活性化させ、責任ある民間投資の誘致に向けた協力を追求する。

会議に参加した各国の閣僚も、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻でサプライチェーンの混乱が起きたことなどを指摘し、APEPを通じてそれら課題に対処することに期待を示した。また、多くの閣僚が、参加国間で締結済みの貿易協定の活用および現代化を進めていくことにも期待を寄せた。米国の場合、APEP参加国のうち9カ国と貿易協定を締結している(注)。会議終了後には、APEPが目指すべきビジョンをまとめた共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが公表された。具体的な交渉の開始時期または妥結の目標時期には言及されていないが、APEPは開放的で包摂的な取り組みであり、将来的に米州の他の有志国にも広げていく考えだとしている。

(注)カナダおよびメキシコとの「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」、コスタリカ、ドミニカ共和国を含む「米国・中米諸国・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)」、チリ、ペルー、コロンビアおよびパナマとの2国間自由貿易協定(FTA)、エクアドルとの貿易円滑化協定。

(磯部真一)

(米国、バルバドス、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイ)

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