2022年の経済は厳しさを増す一方で、打開策も始動

(ガーナ)

アクラ発

2023年01月12日

IMFは、ガーナの2022年の実質GDP成長率を3.6%と予測している。ガーナ統計局の発表によれば、2022年第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比で3.0%、第2四半期は4.7%、第3四半期は2.9%だった。ガーナ中央銀行によると、公的債務は2022年4月時点でGDP比63.1%だったところ、2022年9月には75.9%へと増加した。ガーナ政府は5月に電子取引への課税を含む徴税強化を行い、さらに2022年内に5回の利上げを実施したが、インフレや債務状況の改善には至らなかった。食糧およびエネルギー価格の高止まりが続き、11月にはインフレ率が前年同月比50.3%を記録し、主要通貨に対する現地通貨価値は年初から53.8%下落した。

さらに、国際金融市場からの資金調達が困難になり、2月、9月、11月の3回にわたり国債の格付けが引き下げられた(2022年12月8日記事参照)。ガーナ政府は9月からIMFと融資の協議を開始し、12月12日に3年間で総額30億ドルの融資を事務レベルで妥結するに至った(2022年12月15日記事参照)。12月19日には包括的な債務再編の一環として、ユーロ債や商業ローン、2国間借り入れの大半を含む対外債務の支払いの一時停止を表明しており、国内債務の再編プログラムと併せ、債務整理の議論が進められている(2022年12月21日記事参照)。事実上のデフォルト宣言となったが、一般市民の生活への影響は限定的で、目立った混乱は発生していない。

マハマドゥ・バウミア副大統領は2022年12月、アラブ首長国連邦との間で、「金と石油製品を交換する政策」の運用についての協議を完了したと発表した。現地報道によると、本政策には外貨準備高の回復および通貨の下落を食い止める狙いがある。外貨準備高は2022年10月時点で67億ドル(輸入2.9カ月分相当)と、前年同月の108億ドル(輸入4.8カ月分相当)から減少している。

金と並んで、ガーナの主要輸出産品であるカカオについて、国際カカオ機関の発表によると、病害や肥料高騰に起因する肥料散布量の低減が原因で、2021/2022年のガーナのカカオ生産量は前年比34%の減少となった。2022/2023年においては、栽培時期に良好な天候が記録されたことから、同機関は収穫量の増加を予測している。

(柴田北斗)

(ガーナ)

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