アフリカ9カ国、デジタル化・脱炭素化に向けて長期エネルギー計画を定期的に更新

(アフリカ、エジプト、ガーナ、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、南アフリカ共和国)

中東アフリカ課

2023年01月20日

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は1月、アフリカの長期エネルギーシナリオ(Longterm energy scenarios, LTES)について、9カ国(ボツワナ、エジプト、エスワティニ、ガーナ、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、南アフリカ共和国、チュニジア)の取り組みをまとめた報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。それによると、9カ国の全てで3〜5年の間隔で定期的にエネルギー計画を更新し、また、意欲的な再生可能エネルギー導入目標を設定していた。

主要国の取り組みを見ると、エジプトでは、エネルギー最高評議会が各省庁と連携して2016年に「統合持続可能エネルギー戦略(ISES)2035」を策定し、2035年までに再エネ発電比率を42%まで引き上げる目標を立てている(2022年10月31日付地域・分析レポート参照)。ISESはGDP成長率や原油価格などの変化を考慮して2年ごとに更新される。

ガーナでは、エネルギー委員会がさまざまな分野の人材を巻き込んだボトムアップ型で、2018年に「統合電力セクターマスタープラン(IPSMP)」を策定している。米国から技術的・財政的支援を受けているIPSMPは高度に制度化されたプロセスで、電力需給に合わせて継続的に見直される。

ケニアでは、策定中の「統合国家エネルギー計画(INEP)」の一部として、エネルギー省や電力会社などの官民が協力して「電力分野計画(LCPDP)」を実施している。LCPDPは今後20年間の発電・送電計画のガイドラインで、2年ごとに更新される。

モロッコでは、パリ協定の「国が決定する貢献(NDC)」を2021年に最終更新し、2030年までの温室効果ガス排出削減計画を策定している。化石燃料の輸入依存度を減らし、再エネ導入を強化することで、持続可能な経済発展とエネルギー移行を目指し、NDCは頻繁に更新されている。

ナイジェリアでは、エネルギー委員会が「国家エネルギー基本計画2020(NEMP)」を策定し、2050年までの国家計画の一部として運用している。エネルギー転換期の貧困にも配慮した上で、経済や人口動態、新技術(太陽光、水力、バイオマス、風力による発電など)の導入などの変化を反映し、5年ごとに更新される。

南アでは、鉱物資源エネルギー省が2019年に電力統合資源計画(IRP)を策定し、2030年までのエネルギー政策を定めている(2022年10月31日日付地域・分析レポート参照)。総発電量における石炭火力の割合を低下させ、再エネの割合増加を目指す。

(天神和泉)

(アフリカ、エジプト、ガーナ、ケニア、モロッコ、ナイジェリア、南アフリカ共和国)

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