米調査会社が2022年半導体業界売上高ランキング発表、メモリー半導体市場で減速

(米国、韓国、日本、オランダ)

米州課

2023年01月18日

米国調査会社のガートナーは1月17日、半導体業界の2022年売上高ランキング(速報値)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照)。同社によると、半導体業界は2022年に前年比1.1%増の6,016億9,400万ドルを売り上げた。上位25社に限れば、前年から2.8%増加しており、業界全体の75%を占めている。

業界トップは韓国のサムスン電子で、売上高は前年から10.4%減少したものの、655億8,500万ドル、市場シェア率は10.9%となった。特にメモリー半導体市場で落ち込みが見られたが、首位を維持している。2位のインテルも、消費者向けパソコン市場の減速などにより、売上高は前年から大幅に減少(19.5%減)したが、9.7%のシェアを占めている。

ガードナーは半導体業界の2022年の特徴として、メモリー半導体市場の売上高減少を挙げている。同市場は業界全体の約25%を占める一方、2022年は10%の売上減となった。電子機器メーカーがそれまで抱えていたメモリー半導体の過剰在庫を消化し始めたことで、需要の減少を引き起こしたと分析している。多くのメモリー半導体メーカーは2023年の設備投資を削減すると発表しており、需給バランスの調整を図ろうとしているようだ。その中で、メモリー半導体の製造を主力とする業界3位のSKハイニックス(前年比2.6%減)や、5位のマイクロン・テクノロジー(前年比3.7%減)については、売上高の減少幅が相対的に小さかったと言える。メモリーを除く半導体業界の売上高は前年比5.3%増となった。自動車の電動化や、産業オートメーション、エネルギーの移行などが需要を後押ししたとみられる。

半導体に関しては、特にロジックとメモリーの先端半導体に注目が集まっている。米国は国内または同盟国・友好国との間で、強固なサプライチェーンを構築したいという思惑を持っている。国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるカート・キャンベル氏は1月17日、戦略国際問題研究所(CSIS)主催のイベントで、ジョー・バイデン米大統領が1月13日の岸田文雄首相との会談で中国に対する半導体関連の輸出規制について問題を提起したことを明らかにした(2023年1月18日記事参照)。米国は10月7日に、中国を念頭に先端半導体の関連製品に関する輸出管理規則(EAR)の強化を発表している(2022年10月11日記事参照)。また、1月17日に行われたバイデン大統領とマルク・ルッテ・オランダ首相の会談でも、半導体について議論が交わされたもようだ。

(片岡一生)

(米国、韓国、日本、オランダ)

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