パンカム首相が引退表明、ソーンサイ副首相が首相に就任

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年01月11日

ラオスで12月30日開催の第9期第4回国民議会(国会)で、パンカム・ビパバン首相が辞任し、政界からの引退を表明した。これに伴い、ソーンサイ・シーパンドン副首相を首相とする案が提出され、同日に承認された。

パンカム氏は2021年3月に開催された第9期第1回国会で首相に就任したばかりで(2021年3月25日記事参照)、5年の任期がある中、わずか2年弱で辞任するのは異例のことだ。

新型コロナウイルス流行で経済が低迷する中、パンカム氏は「経済財務問題に関する国家アジェンダ」を掲げるなど、経済回復に向けて精力的に改革を打ち出していた。2022年5月の入国規制緩和(2022年5月10日記事参照)以降、国外からの観光客が徐々に戻っており、国民からは一刻も早い経済財政の立て直しが望まれているが、足元ではウクライナ情勢や現地通貨キープ安などに起因するインフレ進行の懸念が残っている。今回、首相に就任したソーンサイ氏は、インフレ対策以外に、国営企業改革や財政金融システム改革、持続可能な開発、開発格差是正、貧困削減などを重要課題として挙げた(「ビエンチャン・タイムズ」紙1月3日)。

ソーンサイ氏は、1966年1月26日生まれの56歳。幼少期は中国の南寧で暮らし、高校は旧ソ連ウクライナのオデッサ(現・オデーサ)で学んだ。チャムパサック県知事(2006~2014年)、首相府大臣(2014~2016年)、副首相(2016~2022年、うち2019年10月~2022年2月は計画投資相兼任)などの要職を歴任。2021年の第11回人民革命党大会では同党序列9位に選出された。首相(1991~1998年)や国家主席(1998~2006年)を務めたカムタイ・シーパンドン氏(1924年生まれ)の息子。

写真 新たに首相に就任したソーンサイ氏(ジェトロ撮影、2019年12月)

新たに首相に就任したソーンサイ氏(ジェトロ撮影、2019年12月)

(山田健一郎、山田浩平)

(ラオス)

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