2022年の新車販売台数は前年比6割減

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年01月16日

ロシアで自動車販売が低迷している。在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)の発表(1月12日)によると、2022年の乗用車と小型商用車(LCV)の新車販売台数は前年比58.8%減の68万7,370台となった(添付資料図参照)。乗用車の販売が大きく落ち込み、国内での新車登録台数が減少した現状について、地元有力紙「ベドモスチ」(1月10日)は「1990年代後半のレベルまで後退した」としている。ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、多くの外国自動車メーカーがロシア向けの出荷を見合わせたり、物流の混乱などから国内での組立生産を停止したりしたことが影響した。

ブランド別販売台数の順位に大きな変化はなかった。前年に引き続き、地場乗用車最大手アフトワズのラーダと、韓国の起亜、現代が上位3位を占めた(添付資料表参照)。中国のチェリー(奇瑞汽車)、ハバル(長城汽車)、ジーリー(吉利汽車)の3ブランドがトップテン入りを果たした。日韓や欧州のブランドが6~8割の落ち込みをみせる中、中国ブランド車と地場のガズ、ウアズが比較的堅調に推移した。

2023年に市場がどの程度回復するかは未知だ。自動車分野の専門家ウラジーミル・ベスパロフ氏は、市場の動向は供給に大きく依存するとして、国内で生産が拡大し、輸入が増加すれば、「(前年比で)約20%増加するだろう」と話している(「ベドモスチ」紙1月10日)。一方で、市場の回復の遅れにつながりそうな動きも出ている。国内で生産を行う自動車メーカーの保護を目的とした廃車税(注)の引き上げ(2018年3月23日記事参照)の議論が持ち上がっている。専門家は、もし引き上げられた場合には輸入車を中心に販売価格の上昇、新車供給体制のさらなる逼迫が起こると指摘している。

(注)リサイクル税ともいう。廃車時にかかる経費として自動車の製造者、輸入者、あるいは購入者が政府に支払う税金。ロシアでの現地生産車には政府が補助金を支給するため、主に輸入車価格に影響を及ぼす(2018年3月23日記事参照)。

【欧州ロシアCIS課】

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