乗用車などリサイクル税の係数引き上げ-輸入車に影響大、税額が2倍になるケースも-

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年03月23日

政府は3月21日、乗用車やトラック、バスなどに課されている「リサイクル税(廃車税)」の係数を引き上げる政令を発表した。税額が2倍になるカテゴリーもあり、主に輸入車の販売価格に影響する。専門家からは自動車市場の回復に水を差しかねないと懸念する声も出ている。

大衆車を主な対象に4月施行

連邦政府サイトで発表されたのは「リサイクル税および同税額の支払いに関する原則および輸送車両(シャシー)のカテゴリーと種別リストの修正について」(2018年3月19日付ロシア政府決定第300号)。リサイクル税は基礎税額×係数に基づき算出され、基礎税額については乗用車が2万ルーブル(約3万6,000円、1ルーブル=約1.8円)、乗用車以外は15万ルーブルと変更はない。一方で係数が引き上げられ、車両の排気量によって上がり幅が異なっている。政令の施行は4月1日からとなっている。

今回、乗用車に関し最も影響が大きいのが、排気量1000ccから2000ccまでのカテゴリー。新車に対する係数は2.21から4.2と2倍近くに上昇し、リサイクル税額は4万4,200ルーブルから8万4,000ルーブルに上がる予定。製造から3年以上経過した中古車も係数が8.26から15.69へ引き上げられ、税額は16万5,200ルーブルから31万3,800ルーブルと大幅に値上がりする。ただし、個人が使用目的で輸入する中古車や、3000cc以上の乗用車に関しては係数に変更はない。

ロシア国内で生産される車両に関しては、政府がリサイクル税の補填(ほてん)として自動車メーカーに補助金を支給しており(2016年2月26日記事参照)、係数の変更は主として輸入車の販売価格に影響を及ぼす。

専門家は「自動車市場が弱含みで回復してきた時期にこのような措置を取る必要は全くない。税収目的の政府の不調和な政策は市場の回復に水を差す。既にロシア市場での輸入車の割合は縮小傾向にある」と指摘している(インターネット新聞「ガゼータ・ルー」3月21日)。

(高橋淳)

(ロシア)

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