累進賃金モデル導入企業に認証マーク、政府調達で取得義務付けへ

(シンガポール)

シンガポール発

2023年01月25日

シンガポール人材省は1月18日、「累進的賃金モデル(PWM)」を導入する企業を認証する新たな認証マーク「累進賃金(PW)マーク」の導入を発表した。PWMとは、低所得労働者を対象とした実質的な最低賃金モデルのことだ(2022年8月22日記事参照)。政府は3月1日から、政府調達入札の落札企業に対し、契約期間中にPWマークの取得を義務付ける方針だ。

今回のPWマークの導入は1月18日、同マークを取得したユニクロの店舗を視察したザキ・モハマド上級国務相(人材担当)が正式発表した。PMマークは、政府の企業向け申請ポータルサイト「ゴービジネス(GoBusiness)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」でオンライン申請できる。同省は2022年12月から同マークの申請受け付けを開始しており、外資を含め約1,900社がこれまでに認証を受けている。認証を受けた企業はPWマークを自社のウェブサイトや店舗などに貼り出すことができる。

PWマークの認証を受けるには、(1)雇用主がPWMの適用を受ける国民(永住権者を含む)を少なくとも1人雇用する、(2)残りの全ての国民(永住権者を含む)に最低でも現地適格給与(注1)を支給することが条件となる。さらに、政労使が定めた低労働者の雇用慣行「低労働者のより健全な雇用のための政労使基準(TS-LWW)」(注2)を導入した雇用主については、より上級の認証「PWマーク・プラス」が受けられる。

政府は2023年3月1日から、政府調達入札の落札者(その下請け業者も対象)に対し、契約期間中のPWマーク取得を義務付ける。また、2024年3月1日から、9万シンガポール・ドル(約891万円、Sドル、1Sドル=約99円)以下の政府調達案件を対象とする公募型見積合わせ(注3)の落札者についても、PWマークの取得を義務付ける予定だ。

3月から飲食サービス、事務職、ドライバーへの累進賃金モデル導入を義務付け

人材省は3月1日から飲食サービスと事務職、ドライバーの職種について、PWMの導入を義務付ける(注4)。7月1日からはごみ処理業にもPWM導入を義務付ける予定だ。

(注1)フルタイムの国民(永住権者を含む)の現地適格給与(LQS)は月1,400シンガポール・ドル(約13万8,600円、Sドル、1Sドル=約99円)以上と設定されている。詳細は人材省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)「低労働者のより健全な雇用のための政労使基準(TS-LWW)」は、公平で革新的な雇用慣行のための政労使連合(TAFEP)のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注3)政府は、6,001Sドル以上、9万Sドル以下の政府調達については公募型見積合わせ、9万Sドルを上回る政府調達については入札の実施を定めている。

(注4)事務職とドライバーの具体的なPMWについては、人材省のサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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