韓国銀行、基準金利を3.50%に引き上げ

(韓国)

ソウル発

2023年01月17日

韓国銀行(中央銀行)は1月13日、金融通貨委員会を開催し、基準金利を現行の3.25%から0.25ポイント引き上げ、3.50%とした(2022年11月24日記事参照)。2023年の経済成長率が2022年11月の見通し(1.7%)より低くなると予想されるものの、物価上昇が依然として高い水準で推移し、今後も相当期間、目標水準(2%)を上回ると見込まれるため、物価安定のため基準金利を0.25ポイント引き上げる必要があると判断した。このほか、今回の基準金利引き上げの背景について、次のように説明している。

〇世界経済については、物価は国際原油価格下落などの影響で上昇率が鈍化しているものの、依然として高い水準で推移している。物価上昇に対応し、主要国が政策金利を引き上げ、景気鈍化が続いている。国際金融市場では、米国連邦準備制度理事会(FRB)の金利引き上げ速度の調整、欧州中央銀行(ECB)などの通貨緊縮強化の見通しなどで米ドルの弱含みが続いている。今後、世界経済と国際金融市場は、グローバルインフレの鈍化速度、主要国の通貨政策の変化と米ドルの動き、防疫政策緩和後の中国経済の状況、地政学的リスクなどに影響を受けるものとみられる。

〇国内経済は、輸出が大幅に減少し、消費の回復の流れが弱まるなど、成長率の鈍化が続いた。雇用は、全体的に良好な状況であるものの、景気鈍化で就業者数増加幅の縮小が続いた。2023年の成長率は世界経済の鈍化、金利上昇などの影響で、2022年11月の見通しを下回ると予想される。

〇消費者物価は、石油類の価格上昇の鈍化にもかかわらず、加工食品の価格上昇幅の拡大、電気・ガス料金の引き上げの影響などにより、2022年12月も5.0%の高い上昇を続けた。コアインフレ率は4%台前半でわずかに下落し、短期期待インフレ率は3%台後半に鈍化したが、依然として高い水準で推移した。今後の物価見通しには国内外の景気鈍化の度合い、電気 ・ガス料金など公共料金の引き上げ幅、国際原油価格および為替レートの動きなどの不確実性が影響すると判断される。

〇金融・外国為替市場では、市場安定化対策、FRBによる金利引き上げ速度の調整などにより不安が緩和すると予想される。長期市場金利が下落し、社債およびコマーシャルペーパー(CP)のスプレッドが縮小し、ウォン高ドル安となった。ただし、非優良債権、プロジェクトファイナンシング資産担保コマーシャルペーパー(PF-ABCP)などに対しては信用警戒感が続いている。家計負債は減少傾向が続き、住宅価格は首都圏と地方の双方で下落幅が大きく拡大した。

(当間正明)

(韓国)

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