韓国銀行、基準金利を3.25%に引き上げ

(韓国)

ソウル発

2022年11月24日

韓国銀行(中央銀行)は1124日、金融通貨委員会を開催し、基準金利を現行の3.00%から0.25ポイント引き上げ、3.25%とした(2022年10月13日記事参照)。高い水準のインフレ率が続く中、物価安定のための政策対応を継続する必要があると判断した。景気鈍化の程度が8月の予測値と比較して大きくなることが予想され、さらに、外国為替部門のリスク緩和や短期金融市場での委縮を総合的に考慮し、0.25ポイントが適切な引き上げ幅とした。このほか、今回の基準金利引き上げの背景について、次のように説明している。

〇世界経済は、高いインフレ率と主要国の政策金利の引き上げが継続し、ウクライナ情勢の長期化などの影響で、景気鈍化が続いている。国際金融市場では、米国連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ速度の調節への期待感からリスク回避心理が緩和して、ドル安となり、長期市場金利が下落している。今後、世界経済と国際金融市場は、国際原材料価格や世界的なインフレの行方、主要国の金融政策の変化、ドルの動き、地政学的リスクなどの影響を受けるとみている。

〇国内経済は、消費回復の動きが続いたものの、輸出が減少に転じるなど、成長の鈍化が続いた。雇用では、就業者数の増加幅は鈍化したものの、低い失業率が続くなど、良好な状態となっている。2022年の経済成長率は8月の展望値(2.6%)を維持するものの、2023年は8月の展望値(2.1%)を相当下回る1.7%になると見込まれる。

〇消費者物価は、石油類の価格上昇の鈍化にもかかわらず、電気・ガス料金の引き上げや、加工食品価格の値上げ幅の拡大などで、10月も5.7%の高い上昇率となった。コアインフレ率と期待インフレ率は4%前半の高い水準が続いた。今後の消費者物価は、ベース効果や景気鈍化の影響で上昇率は抑えられるものの、5%程度の高い水準が当分続くと予想される。2022年と2023年の消費者物価は、8月の展望値(5.2%、3.7%)を小幅に下回る5.1%、3.6%になると見込まれるが、為替レートや国際原油価格の動向や、国内外の景気鈍化の程度、電気・ガス料金の引き上げ幅などの不確実性が大きいと判断される。

〇金融・外国為替市場では、主要国の金融引き締め速度の調節への期待感などで長期金利が下落した。ウォン高・ドル安が進み、株価は上昇したものの、短期金融市場ではプロジェクトファイナンス資産担保コマーシャルペーパー(PF-ABCP)の金利が大幅に上昇し、取引も委縮している。家計向け貸し出しは小幅な増加にとどまり、住宅価格は首都圏、地方ともに下落幅が拡大した。

(当間正明)

(韓国)

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