外国人駐在員雇用パス申請前の現地人材の求人義務、1月1日から開始

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年01月06日

マレーシア人的資源省は1月1日から、外国人駐在員の雇用パス(EP)申請に際し、その駐在員ポストに対する事前のマレーシア人向けの求人実施の運用を開始した。求人は政府の求人ポータルサイトのマイフューチャージョブズ(MYFutureJobs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で行う。人的資源省傘下の社会保障機構(SOCSO)が監督機関となる。当初2020年11月1日開始予定だった内容と比べ、自動的に求人義務を免除する対象者などをより明確に規定した。

企業内転勤者、駐在員事務所などが自動免除に

SOCSOが発表した「よくある質問(FAQ)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、求人義務が発生するのは駐在員の雇用パス(EP)のみで、配偶者パス(DP)、短期滞在パス(SVP)、プロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)、レジデンス・パス(RP)は対象外となる。

また、以下の条件に該当する場合は、自動的に求人義務が免除される。

  • 重要ポスト〔最高経営責任者(CEO)や最高情報責任者(CIO)などの最高幹部など〕、かつ、月額基本給が1万5,000リンギ(約39万円、1リンギ=約26円)以上の者
  • 駐在員事務所または地域事務所の駐在員
  • 投資家、株主、会社所有者(ただし、株主は30%以上の株式を保有し、役員または経営権に関わる役職に就いている者)
  • 企業内転勤者(親会社から派遣された駐在員)
  • 国際機関職員
  • スポーツ分野の関係者(アスリートや専門家など)
  • 発給済みのEPの更新

上記の条件を満たさない場合でも、特別な技能を有する外国人はSOCSO所定フォームで申請し、承認を受ければ、求人義務が免除される。

求人が必要となる場合のフローは以下のとおり。

  1. MyFutureJobsに求人情報を登録し、応募者に対する面接など採用活動を行う(最低30日間)
  2. 求人が公開されてから8日目にePPxシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〔注〕に会社の雇用情報を登録
  3. 採用活動の結果を採用結果レポート(Hiring Outcome Report)フォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに入力し、SOCSOに提出
  4. 駐在員配置委員会が審査し、駐在員の雇用が認められた場合には「勧告証明書(Recommendation Certificate)」が発行される
  5. 管轄機関に対して雇用パスの申請に進む

現地人材の採用に当たっては、SOCSOの支援を受けることができる。また、MyFutureJobsの登録は必須だが、それ以外の手段での採用活動も実施可能だ。

今後の運用の注視が必要

企業内転勤者が自動免除の対象となったため、多くの日系企業では駐在員の求人義務が免除されるとみられる。ただし、FAQ上では、当該ポストが自動免除の対象か否かの判断プロセスが不明瞭なため、今後の運用に注視が必要だろう。他方、親会社がない企業や現地法人で採用する外国人については、30日間の求人義務が原則として発生することになる。

MyFutureJobs上での求人義務については、駐在員だけでなく、外国人労働者の雇用の際にも必要となる。

〔注〕単純労働を中心とした外国人労働者の就労許可を申請するシステム。労働局による労働コンプライアンス監査を目的として登録が求められる。

(田中麻理)

(マレーシア)

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