ドイツの機械設備大手デュル、中国CATLのドイツ工場に溶剤回収設備を導入

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2023年01月06日

ドイツの機械・設備大手デュルは12月14日、中国のリチウムイオン電池大手・寧徳時代新能源科技(CATL)のドイツ工場に、リチウムイオン電池製造工程の溶剤回収システムを導入すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

溶剤回収システムとは、リチウムイオン電池の製造過程で投入した溶剤を回収するもので、デュルによると、年間何万トンもの二酸化炭素(CO2)の排出を抑え、溶剤のリサイクルを可能とし、回収した溶剤の95%以上を再利用できるとしている。

CATLは12月21日、ドイツ中部チューリンゲン州の新工場で電池セルの製造を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。年間8ギガワット時(GWh)のバッテリーセルの生産能力を将来的には14GWhまで拡大する計画(2022年4月19日記事参照)。同工場では既に2021年第3四半期(7~9月)から蓄電池モジュールの生産を行っている。

デュルは、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルトから北に約25キロのビーティヒハイム・ビッシンゲンに本社がある。2021年の売上高は35億3,670万ユーロで、従業員は1万7,802人(2021年末)。千葉県船橋市に日本拠点を有する。主力の自動車工場の塗装工程・最終組み立て工程設備に加えて、近年、蓄電池製造関連の機械・設備にも力を入れている。

例えば、同社は2022年9月、ドイツ2社とリチウムイオン電池製造技術に関する分野で協業すると発表した(2022年9月30日記事参照)。ドイツ企業がタッグを組み、今後さらに需要拡大が見込まれる欧州でのリチウムイオン電池製造工場の設備関連の受注を獲得していく。また、デュル傘下のデュル・システムズは2020年9月、大阪市に本社があるテクノスマートと、欧米でのリチウムイオン二次電池用電極コーティングラインの製造・販売に関する業務提携契約を締結した。

欧州では次世代自動車向けを中心に、リチウムイオン電池を製造する工場が続々と建設されている。フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)の2022年7月の発表によると、40を超える蓄電池セルメーカーが欧州での蓄電池工場建設を発表している(2022年8月16日記事参照)。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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