蓄電池製造設備ビジネス拡大に向け、ドイツ3社が協力

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年09月30日

ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州に本社があるマンツとデュル、南部のバイエルン州に本社を構えるグローブ・ベルケの3社は9月16日、リチウムイオン電池製造技術に関する分野で協業すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。いずれも設備機械関連の有力な企業だ。ドイツ企業がタッグを組み、今後さらに需要拡大が見込まれる欧州でのリチウムイオン電池製造工場の設備関連の受注を獲得していく意向だ。

具体的には、3社は蓄電池工場全体の設備に関する共同受注とプロジェクト実施のため、戦略的に協力する。目的は、(1)急拡大する可能性があるリチウムイオン電池生産技術のビジネスを拡大すること、(2)協力により生産全工程の設備・技術を提供することにある。3社は協力により、蓄電池生産用設備を提供できる欧州のサプライヤーとしての地位を確立し、これまで主としてアジアから調達していた製造設備の代替を提供したいと明言している。産業分野としては、自動車向けリチウムイオン電池の製造工場を重視する。

マンツ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1987年創業の機械・装置メーカーで、売上高は2億2,710万ユーロ(2021年)。従業員数は1,384人(同)。多種多様なリチウムイオンセルの製造用装置、蓄電池モジュールへの組み立て用機械などに強い。デュル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1896年創業で、自動車の塗装・組み立て用機械、木工用機械などの開発・製造が中心。売上高は35億3,670万ユーロ(2021年)で、従業員数は1万7,802人(同)。電池関連では電極製造分野やセル・モジュール組み立て工程の設備に強い(2022年3月1日記事参照)。グローブ・ベルケ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1926年創業で、自動車産業向けの設備・機械の開発などの開発・製造が中心。売上高は12億ユーロ(2021年/2022年会計年度)で、従業員は7,500人。次世代自動車向けには電気モーター、蓄電池・燃料電池製造装置などを手掛ける。

欧州では次世代自動車向けを中心に、リチウムイオン電池を製造する工場が続々と建設されている。フラウンホーファー・システム・イノベーション研究所(ISI)の7月15日付発表によると、これまでに40を超える蓄電池セルメーカーが欧州での蓄電池工場建設を発表した(2022年8月16日記事参照)。ドイツ国内だけでも寧徳時代新能源科技(CATL、2022年4月19日記事参照)、蜂巣能源科技(SVOLT、2021年11月4日記事参照)などの外国企業のほか、自動車メーカーのフォルクスワーゲンがザルツギッター(ニーダーザクセン州)に蓄電池工場を設置する(2022年7月22日記事参照)といった動きが相次いでいる。蓄電池製造用機械・設備の需要も、今後さらに高まるものと予想される。

(高塚一)

(ドイツ)

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