エネルギー分野の投資環境改善に向け、林外相とメキシコ経済相が会談

(メキシコ、日本)

メキシコ発

2023年01月11日

メキシコ経済省は1月4日、ラケル・ブエンロストロ経済相と訪問中の林芳正外相が会談したことをツイッターで発表した。林外相は、安倍晋三元首相の国葬参列のために2022年9月26日に訪日したマルセロ・エブラル外相と会談を行ったが、ブエンロストロ経済相との会談は初となる。

両大臣は、2005年の日本とメキシコの経済連携協定(EPA)発効以降、両国間の貿易量は2倍となり、進出日系企業の拠点数が4倍の約1,300と大きく発展していることを歓迎するとともに、近年の国際情勢の変化に伴う経済的機会創出や両国経済のさらなる発展に向けた取り組みについて意見交換した。

林外相は第32回日メキシコ経済協議会の開催やアエロメヒコ航空の直行便再開などを通じて、新型コロナウイルスのポストコロナに向けて両国経済界の連携も再活発化することに期待を示した。ブエンロストロ経済相も賛意を示し、日本からの一層の投資拡大への期待を表明した。

林外相は中長期的視点から投資の法的安定性と予見可能性が重要という点を指摘した上で、特にエネルギー分野の法的安定性の確保に期待していると伝えた。メキシコ国内では、2022年4月17日に電力再国有化に向けた憲法改正案が否決されたものの(2022年4月19日記事参照)、民間企業がエネルギー事業を行う許認可が出ないケースが多発しており、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)でもメキシコ政府に協議要請が行われている状況だ(2022年12月23日記事参照)。

これに対して、ブエンロストロ経済相は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領が進める再生可能エネルギーの活用も含めたエネルギー分野の改革の取り組みなどについて説明した。

また、両大臣は環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)についても意見交換を行い、協定のハイスタンダードを維持していくべく、緊密に連携していくことで一致した。太平洋同盟の枠組みでも、メキシコの議長国としての取り組みの成果を評価し、ともに成長するパートナーとして官民双方の関心分野で協力を進めていくことを確認した。しかし、太平洋同盟については、11月25日に開催予定だったメキシコでの首脳会合が延期になり(2022年12月1日記事参照)、その後、ペルー議会がペドロ・カスティージョ氏を大統領職から解任したため、いまだに次期議長国のペルーに引き継ぐことができていない状況にある。

(阿部眞弘)

(メキシコ、日本)

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