ドイツ企業、アジア太平洋地域でのサプライチェーン多様化に関心

(ドイツ、アジア太平洋)

ミュンヘン発

2022年11月24日

ドイツ商工会議所(DIHK)は1111日、在外ドイツ企業に対する景況感の秋季アンケート調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのうち、アジア太平洋地域からの回答を抽出した結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。111314日にシンガポールで開催された「ドイツビジネスアジア太平洋会議(APK)」に先立ち、発表したもの。

アンケートは、全世界の在外ドイツ企業の拠点・子会社などを対象に10423日に実施。アジア太平洋地域からは547社が回答した。

景況感については、アジア太平洋地域内でも、中国とそれ以外で傾向に差があることが明らかになった。まず、現状のビジネス状況について「良い」と回答した企業の割合は、在中国ドイツ企業は32%で前回調査(202234月)から10ポイント減少した。一方、「良い」と回答した在アジア太平洋地域(中国を除く)ドイツ企業の割合は44%で前回(45%)とほぼ同じだった。この理由として、ドイツ商工会議所は(1)中国以外における新型コロナウイルス関連の入国制限の緩和などによる出張増加、(2)サプライチェーンの多様化に向けた同地域への関心の高まり、を挙げた。また、今後1年のビジネス見通しについても、「改善」と回答した企業の割合は、在中国ドイツ企業が28%だったのに対し、在アジア太平洋地域(中国を除く)は44%となった。

投資見通しについても、在アジア太平洋地域(中国を除く)のドイツ企業は、「改善」が35%と前回調査とほぼ同じ水準だった。「改善」から「悪化」を差し引いた値では、特にインド(46ポイント)とシンガポール(37ポイント)が高かった。

ドイツ商工会議所のペーター・アドリアン会頭は「中国以外の拠点の多様化を目指すドイツ企業にとって、アジア太平洋地域は魅力的であり続ける」とコメントした。

「ドイツビジネスアジア太平洋会議」でも、サプライチェーンの多様化がテーマに

シンガポールでは111314日に、17回ドイツビジネスアジア太平洋会議APK2022が開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。同会議は1994年から原則2年ごとにアジアで開催されており、ドイツ連邦経済・気候保護省とドイツ財界アジア太平洋委員会(APA)、ドイツ商工会議所の共催。今回のテーマは「多様化とサステナビリティ」。アジアに関心を持つドイツの産業関係者を中心に約600人が一堂に会した。

今回の会議には、オラフ・ショルツ首相が連邦首相として初めて参加した。ショルツ首相は1114日に行った基調講演外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、(1)強靭(きょうじん)なサプライチェーン構築には、反グローバル化ではなく多様化が答えであること、(2)企業は多様化を既に進めており連邦政府としても歓迎することなどを訴えた。ロベルト・ハーベック経済・気候保護相も参加した。

(高塚一)

(ドイツ、アジア太平洋)

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