北京市、新型コロナの影響を受け、新たに12項目の企業支援措置を発表

(中国)

北京発

2022年12月09日

中国・北京市は12月6日、「新型コロナウイルスの影響に積極的に対応し企業の困難解決を支援するための若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

同措置は、企業の経営コストのさらなる削減、金融支援の強化、産業・サプライチェーンの安定化、雇用の安定・民生の保障の4つの分野で合計12項目の取り組みから構成される。主な内容は以下のとおり。

  • ハイテク企業が2022年10月1日から2022年12月31日までに新たに購入した設備や器具に対して、当年度の納税額からの全額控除を認める。
  • 新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対して、2023年6月30日まで住宅積立金納付を猶予する(注1)。
  • 条件を満たした設備の購入や更新・改造への貸し付けに2年間で2.5%の利子補給を適用し、民間投資のプロジェクトを重点的に支援。科学技術イノベーションの発展や先進製造業と現代型サービス業の融合発展などへの投資を誘導する。
  • 不動産開発企業向けの融資などについて、金融機関と不動産開発企業が協議して返済期限を調整することを奨励し、2023年5月10日までに返済期限を迎える貸し付けに対して1年間の延長を認める。
  • 重点物資の輸送車両に通行証を迅速に発行し、高リスク地域の企業から輸送された必要物資は緊急対応中継ステーション(注2)経由で入京させることで、円滑なサプライチェーンを保障する。
  • 2022年の大卒者、卒業後2年以内に就職できていない大卒者、および失業登録している16~24歳の若者を雇用する企業に対して1人当たり1,500元(約3万円、1元=約20円)の補助金を支給する政策について、申請の有効期限を2023年3月31日まで延長する。

北京市発展改革委員会は今回の措置について、国の関連部門が打ち出した各支援策を全面的に実施しつつ、北京市の現行の支援策を継続・拡大している。さらに、企業からの要望に応えて新たな施策を盛り込んだものとしている。

北京市では、12月6日からオフィスビルなどでのPCR検査陰性証明の確認を不要とする旨が発表された(2022年12月6日記事参照)ほか、北京市飲食業協会が飲食業者に対して段階的な店内飲食の再開を呼びかけるなど(「人民網」12月6日)、防疫対策の緩和が進んでいる。また、12月7日には国務院共同防疫メカニズムが医療機関や学校など以外ではPCR陰性証明の提示や健康コードの確認を求めないなどを定めた新たな防疫措置(2022年12月8日記事参照)を公表したことを受け、北京市でも高速鉄道などの駅への入場時や列車の乗車時に義務付けていた48時間以内のPCR陰性証明や健康コードの確認を停止するなど(「新京報」12月8日)、さらなる緩和の動きがみられる。

(注1)北京市政府が6月2日に発表した「北京市における新型コロナウイルスの感染防止・抑制と経済の安定成長を両立させるための実施プラン」では、2022年4~12月の期間、住宅積立金納付を猶予するとしていた(2022年6月13日記事参照)。今回の措置により、さらに6カ月納付が猶予されることとなった。

(注2)必要な生活・生産物資の輸送を確保するために、新型コロナウイルスの感染拡大が生じた都市や地域の周辺に設立した緊急対応用施設。「バブル方式」管理で貨物の消毒や積み替え作業などを行うことで感染リスクの軽減、円滑な物流を図る。

(張敏)

(中国)

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