中国外交部、反外国制裁法に基づき2人の個人に対して制裁を決定

(中国、米国)

北京発

2022年12月28日

中国外交部は12月23日、余茂春氏(米国のマイク・ポンペオ前国務長官の中国問題顧問)、トッド・スタイン氏(米国議会中国委員会事務局副主任)の2人の個人に対する対抗措置に関する決定(外交部令第4号)を発表し、即日実施するとした。

決定によると、今回の措置は、米国が12月9日にいわゆる「チベットの人権」問題を口実に2人の中国当局者に対して不法な制裁を行った(2022年12月12日記事参照)ことに対して、反外国制裁法第4条、第5条、第6条の規定に基づき、上記の2人の個人を「対抗制裁リスト」に掲載し、以下の対抗措置を取るものとなっている。

  1. 中国境内の動産、不動産、およびその他の各種財産の凍結。
  2. 中国境内の組織・個人と関連取引活動を行うことの禁止。
  3. 当該人およびその直系親族に対して査証を発給せず、入境を許可しないこと。

外交部の毛寧報道官は同日の記者会見において、チベット問題は純粋に中国の内政に属する問題であり、米国にはむやみに干渉する権利も資格もないとあらためて強調し、中国内政に対する乱暴な干渉は必ず中国の断固とした対抗措置を受けるだろうと指摘し、米国に対して同制裁措置を撤回するよう求めた。

反外国制裁法は、外国からの制裁に対する中国の対抗措置を定めた法律であり、2021年6月10日から施行されている(2021年6月14日記事参照)。これまで同法に基づく措置としては、台湾への武器売却に関与した米国の防衛関連企業2社に対するもの(2022年2月24日記事参照)などがあるほか、具体的に同法を明示しない形で関連企業の個人に対する制裁を行うと発表したケースもある(2022年9月20日記事参照)。このほか、2022年8月に台湾を訪問した米国のナンシー・ペロシ下院議長およびその直系親族に対しても制裁を行うと発表している。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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