外交部、反外国制裁法に基づき米ロッキード・マーチン、レイセオン・テクノロジーズへの対抗措置を発表

(中国、米国)

北京発

2022年02月24日

中国外交部の汪文斌報道官は2月21日、米国のロッキード・マーチンとレイセオン・テクノロジーズの2社に対し、中国政府は反外国制裁法に基づいて対抗措置を取ることを決定したと明らかにした。2月7日に米国防総省が、台湾に対して総額約1億ドルの武器売却を行う計画を発表したことを受けた措置となる。

汪報道官は、米国による台湾への武器売却は「1つの中国」原則および中米間の3つの共同コミュニケ、なかでも「8・17コミュニケ」(注1)の規定に対する重大な違反で、中国の主権と安全保障上の利益や中米関係および台湾海峡の平和と安定を深刻に損なうとの認識を示し、中国は米国の行動について断固反対し、これを強く非難すると述べた。その上で、中国政府は、中国の主権と安全保障上の利益を守るために、反外国制裁法の関連規定に基づき、米国の台湾への武器売却に長期間携わってきた米国の軍需企業である両社の不法行為に対して対抗措置を実施することを決定したと説明した。

反外国制裁法は、2021年6月10日に全人代常務委員会で可決・成立し、即日施行されたもので、外国が中国の公民や組織に対して差別的規制措置を講ずる際に、同措置の制定・決定・実施に直接あるいは間接的に関与した個人・組織を対抗措置リストに掲載し、ビザの発給拒否や取り消し、入国拒否、国外退去や中国国内にある不動産などの財産の差し押さえ、押収、凍結、中国国内の組織・個人との取引などの活動の禁止あるいは制限などを課すことができると規定している(注2)。中国はこれまで、米国の元閣僚や議会関係者などに対して反外国制裁法に基づく対抗措置を発表(注3)しているが、企業に対して同法に基づく対抗措置を発表するのは今回が初めてとなる(注4)。

2月23日時点で対抗措置の詳細は明らかになっていないが、中国社会科学院米国研究所の袁征副所長は「米国による対中軍事協力の制限や厳格な武器輸出管理によって、両社の中国との直接の商取引は多くないため直接的な影響は限定的かもしれないが、両社が資本参加していたり、その他の業務上の関係がある非軍事分野の企業は中国市場へのアクセスに影響を受けるだろう。また、もしこうした企業の上級管理職が対抗措置リストに掲載された場合、中国への入国が禁止されたり、中国と業務上関係のある企業への出向にも影響が出たりする可能性がある」との見方を示している(「環球時報」2月22日)。

(注1)1982年8月17日に発表された米国の対台湾武器売却問題に関する米中両国の共同コミュニケ。

(注2)反外国制裁法の詳細については、ジェトロによる解説「反外国制裁法の概要PDFファイル(573KB)」「反外国制裁法の実務上のポイントPDFファイル(353KB)」を参照。

(注3)これまで中国が反外国制裁法に基づく対抗措置として発表したものとしては、米国が香港中聯弁(中央人民政府駐香港特別行政区連絡弁公室)副主任らに制裁を科したことに対し、ウィルバー・ロス前商務長官や米議会の米中経済・安全保障調査委員会の委員長らに対して、中国(香港、マカオを含む)への入国禁止や在中資産の凍結、中国の公民および機関との取引の禁止などの制裁措置を取った例、米国が新疆ウイグル自治区の関係者ら4人に制裁を科したことに対抗して、米国の国際宗教自由委員会の委員長ら4人に対し上記と同様の制裁措置を取った例がある。

(注4)反外国制裁法の施行以前にも、中国は米国の台湾への武器売却に関連してロッキード・マーチン、レイセオン・テクノロジーズなどの米国企業に対して制裁を行うと発表したことがあるが、これらの制裁の具体的内容や実施方式については公表されていない。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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