中国外交部、米国の防衛関連企業2社の個人に制裁を行うと発表

(中国、米国)

北京発

2022年09月20日

中国外交部の毛寧報道官は9月16日、米国が台湾に対して約11億ドルの武器売却計画を9月2日に公表したことに関連して、中国の主権と安全の利益を守るため、同計画に関与した米国企業のレイセオン・テクノロジーズのグレッグ・ヘイズ会長兼最高経営責任者(CEO)とボーイングの防衛・宇宙・セキュリティー部門のテッド・コルバート社長兼CEO(ボーイング社の取締役副社長を兼務)に対して、制裁を実施すると発表した。その上で、米国や関係各方面に対して、「1つの中国」の原則と中米間の3つの共同コミュニケ(注)を順守し、台湾に対する武器売却や米台の軍事的連絡の停止、台湾海峡の情勢を緊張させる要因を作り出すことをやめるようあらためて求めた。

これまで、中国は複数回、台湾への武器売却に関与した米国企業に対する制裁措置を発表している。2020年10月に当時のトランプ政権が総額41億ドル以上の台湾への武器売却を承認したことを受けて、10月26日、外交部はその売却に関与したボーイングの防衛・宇宙・セキュリティー部門やレイセオン・テクノロジーズに対して制裁を科すと発表した。2022年2月には、米国防総省が台湾に総額約1億ドルの武器売却を行う計画を発表したことを受けて、外交部はロッキード・マーチンとレイセオン・テクノロジーズの2社に対し、反外国制裁法(2021年6月10日に施行、2021年6月14日記事参照)に基づいて対抗措置を取ることを決定したと発表している(2022年2月24日記事参照)。

今回の発表は制裁の具体的な内容について明らかにしていないが、反外国制裁法の規定によると、対抗措置リストに掲載した個人や、「当該個人の配偶者および直系親族」「当該個人が上級管理職に就いている組織」「当該個人が実質的に支配している、もしくは設立や運営に関与している組織」に対して、「ビザの発給拒否、入国拒否、ビザの取り消しまたは国外追放」「中国内の動産、不動産、その他各種の財産の差し押さえ、押収、凍結」「中国内の組織および個人との関連取引や協力などの活動の禁止もしくは制限」などの措置を取ることができるとしている。

(注)1972年、1978年、1982年に発表された中国と米国間の3つのコミュニケを指す。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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