米国は有給休暇の少なさで世界2位、先進国で唯一、法定の有給設定なし

(米国)

ニューヨーク発

2022年12月08日

米国の就職支援会社レジュメ・イオが公表したレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国は法定有給休暇日と有給公休日(元日などの祝日)を合わせた有給休暇日数は年間10日と、197カ国・地域中2番目の少なさだった。この調査は、2022年8月時点の197カ国・地域の法定有給休暇と有給公休日を管理する法律に関するデータを調べ、年間の合計日数に基づいて各国・地域をランク付けした。

調査によると、有給休暇日数の1位はイランで年間53日、最下位はミクロネシア連邦で9日だった。上位にはアフリカや中東諸国が多くを占めた。日本は26日だった。米国の10日間は全て有給公休日で、先進国の中で唯一、法定有給休暇が設定されてない特異性が指摘されている。

加えて、民間の雇用主が公休日を順守する義務はなく、多くの企業で採用されている公休日は元日や独立記念日など6日間に限られるとしている。雇用主による従業員への有給休暇取得推進の取り組みも鈍く、米連邦議会調査局のレポートによると、2021年3月時点の調査で、家族のために有給休暇を取得した全従業員の割合は23%にすぎない。有給休暇推進への警戒感が企業側で強いためとみられる。直近でも、鉄道ストライキに介入する法案が成立した際(2022年12月5日記事参照)、下院が承認した従業員の7日間の病欠有給休暇を認める決議案について、上院では否決した。また、8月に成立したインフレ削減法の基となったバイデン政権提案の「米国家族計画」では、有給休暇取得支援が含まれていたが(2021年4月30日記事参照)、最終的にはインフレ削減法に有給休暇部分は含まれなかった。一方で、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)ら民主党会派でも進歩派を中心に、労働者への有給休暇付与を求める声も根強くある。鉄道ストライキの法案であらためて露呈した米国での有給休暇を巡る問題は、今後も議論が続きそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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