政府がフレキシブルな働き方推進に向けた新計画発表
(英国)
ロンドン発
2022年12月07日
英国政府は12月5日、「フレキシブルワークのデフォルト化」に関する新たな計画を発表した。同計画は2021年に意見公募が行われた。政府によると、フレキシブルワークは、在宅勤務と出勤の組み合わせだけでなく、ジョブシェアリング(注)、フレックスタイム、圧縮勤務、時差勤務などを意味する。
政府は2003年4月から親や介護を行う者に対してフレキシブルワークを要求する権利を導入。既に週4日勤務の試験運用をしている企業もある(2022年6月10日記事参照)。労働党のヤスミン・クレシ議員は、新型コロナウイルスと生活費高騰によって、若年世帯や一人親家庭、低所得者は経済的に大きな打撃を受けている一方、多くの企業が人材確保に苦労していると述べ、この計画が人材不足の解消に資するとした(「BBC」2022年12月5日)。
主な計画の内容は以下のとおり。
- 勤務開始からフレキシブルワークの要求資格を付与するまでの期間(26週間)に関する条件を撤廃。
- 雇用主に対し、従業員のフレキシブルワーク要求を拒否する場合、代替となる選択肢を協議することを義務付け。
- 従業員がフレキシブルワークを要求できる回数を1年間で2回に拡大。
- フレキシブルワークの申請に関する雇用主側の決定期間を3カ月以内から2カ月以内に短縮。
- フレキシブルワークの申請に当たり、従業員が雇用主に対して、影響に関して説明する義務を撤廃。
フレキシブルワークの内容が業種ごとに異なって一様ではないことを踏まえ、政府は雇用主や従業員に対して指示はしないとしており、両者が建設的に話し合い、それぞれに適した取り決めを実施することを推奨している。
同計画の対象地域はイングランド、ウェールズ、スコットランドとなっている。
政府は同じ5日、低賃金労働者がより柔軟に働き、複数の労働から収入を得ることを可能にする新法の施行も発表した。週給123ポンド(約2万418円、1ポンド=約166円)以下の従業員に対して、希望した場合に複数の雇用主のもとで働くことを認めるとした。
(注)通常はフルタイムの従業員1人で担当する職務を2人以上で分担。共同で責任を負い、評価・処遇も一緒に受ける働き方。
(島村英莉)
(英国)
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