英企業、週4日勤務の試験運用を開始

(英国)

ロンドン発

2022年06月10日

英国では6月から、70以上の企業・団体が週4日勤務のパイロットプログラムを開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。6月からの6カ月間実施される予定。

同プログラムには、国内から30以上の分野の70企業・団体が参加している。例えば、ソフトウエアデベロッパーや、慈善団体向けの金融機関、ブランディング代理店、ヘルスケア関連企業、自動車部品供給会社などの分野が挙げられる。プログラムを立ち上げた非営利団体4デーウイークグローバル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、参加企業・団体の従業員は生産性の維持や増加にコミットすることで、週4日の労働時間で週5日労働分の賃金を受ける仕組みとなっている。参加企業・従業員に対しては、ワークショップやネットワーキング、メンタリングを通じて、プログラム実施中の課題解決やノウハウ共有を行うとしている。

4デーウイークグローバルは、シンクタンクのオートノミー、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、ボストン大学の研究者などと連携し、このプログラムを立ち上げた。研究者はプログラム期間中、企業の生産性や従業員の福利厚生、環境や男女平等への影響を測定するほか、ストレス、仕事と生活の満足度、健康、睡眠、エネルギー消費、移動などの要素を含めて、休日を1日増やすことに対する従業員の反応を調査する。

4デーウイークグローバルのジョー・オコナー最高責任者は、新型コロナウイルス感染拡大を経て、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)を新たな競争領域として捉え、労働時間の短縮や生産性を重視した働き方が競争力を高める手段と認識する企業が増えているとした(同社の6月7日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

IT企業のワン・ディスコは今回のプログラムに先立つ2月7日、全従業員を対象に週4日勤務の40時間労働を選択できるよう恒久的に移行。同社は、2年間の在宅勤務を経て従業員が新しい働き方に適応し、通勤や会議の時間の短縮、金曜日の会議の廃止などを通じて、生産性が向上した事実に基づき、決断したとしている(同社の3月17日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、モバイル銀行のアトム・バンクは2021年11月から週4日勤務制度を実施して以降、顧客サービスや業務への悪影響はなく、求職者による同銀行の検索数増や応募者数の増加がみられたとした。従業員へのアンケートでは、ストレスレベルが低下し、日々の仕事への意欲が高まったという結果が出た(同社の1月11日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国)

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