時間帯法を改正、国境付近の時間帯を変更

(メキシコ)

メキシコ発

2022年12月02日

メキシコ政府は11月29日、連邦官報で「メキシコ合衆国の時間帯に関する法律(時間帯法)」の改正令を公布した。同法は10月30日付で施行されていたものの、米国との国境線を接している市を有するチワワ州に関して、夏時間を継続するか廃止するかの言及がなく、国境付近の地域でも夏時間を廃止した中央部と同じ時差(日本との時差マイナス15時間)を適用していた(2022年11月2日記事参照)。今回の時間帯法改正では、チワワ州のうち、米国との国境線に面する地域については夏時間を適用して、他の地域は夏時間を適用しないことを明記した。

具体的には、今回の時間帯法の改正令で第5条の2項を修正し、第3項を追加した。改正箇所は以下のとおり。

  • 第5条第2項:チワワ州のコジャメ・デル・ソトル、オヒナガ、マヌエル・ベナビデスについては、本初子午線から西経90度を適用する(日本との時差がマイナス15時間)。
  • 第5条第3項:バハカリフォルニア州と米国との国境線に面しているチワワ州のハノス、アセンシオン、フアレス、プラセディス・ゲレーロ、グアダルーペは、本初子午線から西経105度を適用する(日本との時差がマイナス16時間)。

時間帯法の改正を推進したアンドレア・チャベス下院議員は「チワワ州フアレス市に隣接する米国テキサス州エルパソと同じ時間にするために、時間帯を修正した」と述べた。

また、フアレス市のクルス・ペレス・クエジャール市長は「現時点で重要なことは、チワワ州フアレス市と、米国テキサス州エルパソ、ニューメキシコ州ラスクル―セスの住民に時間帯の変更を知らせることであり、この変更によってチワワ州の国境地帯は実質的に夏時間を設定することになる。時間帯が変わるたびに混乱は起きるだろうが、国境都市間で同じ時間帯になることは非常にポジティブなことだ」と強調した。ただ、クエジャール市長は「仕事と家庭が一体となった国境付近で2つの時間帯があることは複雑だ。一方の都市に住み、もう一方の都市で活動する学生、労働者やビジネスパーソンに対して影響を与えるもの」とも付け加えた(「エル・フィナンシエロ」紙11月30日)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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